《Review》シャーロック・ホームズの思い出/アーサー・コナン・ドイル 最後の事件

初めて読んだのは小学生の頃ですが、憂国のモリアーティをキッカケに再読しました。

ウィキ先生によると、モリアーティ教授とシャーロック・ホームズの接点が作品に描かれるのは「最後の事件」「空き家の冒険」「恐怖の谷」の3作品(言及も含めての登場は6作品)だけなんですが、シャーロック・ホームズの思い出にはその内「最後の事件」が収録されています。

収録作品はこちら

・白銀号事件
・ボール箱
・黄色い顔
・株式仲買店員
・グロリア・スコット号事件
・マスグレーヴ家の儀式
・ライゲートの大地主
・背中の曲がった男
・入院患者
・ギリシャ語通訳
・海軍条約文書事件
・最後の事件

「最後の事件」は、ジョン・H・ワトスンの医院へホームズがやってくる所から始まります。空気銃を警戒していると説明され、1週間ほど大陸へ出かけるので同行して欲しいと頼まれます。事情を聞くと、ホームズは宿敵ジェームズ・モリアーティ教授について語ります。

21歳で二項定理に関する論文を書き評判になった天才で大学の数学教授を務めたこともあるということ。

犯罪者としての素質を開花させ、ついには「犯罪界のナポレオン」と評すべき存在になったということ。多数の手下を組織し、ロンドンで発生する悪事の半分と、未解決事件のほとんどに関わっているといいます。

ワトスンの元へ来た時点でホームズと教授の直接対峙は終わっていましたが、警察が行動を起こせるようになる3日後まで大陸で身を隠すことに決め、同行を頼みに来たのでした。

3日後、何とか教授の追跡を逃れていたホームズとワトスンでしたが、警察からの電報で「組織を壊滅させたが教授だけは取り逃してしまった」ことを知ります。教授が自分に復讐すると考えたホームズはワトスンにロンドンへ帰るよう勧めますが、ワトスンには受け入れる気がまったくありません。二人は旅を続けることに決めます。

そしてライヘンバッハの滝を見物する二人のもとへとある若者がやってきて・・・というお話です。

この「最後の事件」が『ストランド・マガジン』に発表されてホームズの死が明らかになると、世間は大騒ぎとなったそうです。

ドイルは読者や出版社からホームズを復活させるよう幾度となく要望されることになりましたが、長期間にわたりこの要望を拒絶し続けました。途中で長編「パスカヴィル家の犬」を書きますが、それは「最後の事件」より前の事件でした。

ホームズが本当に「復活」するのは短編「空き家の冒険」で、「最後の事件」の発表から9年と10ヵ月が経過していたそうです。

《文:nonono》

 

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