《東京》2025年3月22日(土) 『浮世の画家』課題本読書会レポート

2025年3月22日、東京でカズオ・イシグロの『浮世の画家』を課題本とした読書会を開催しました。

今回は主催含め11名(女性4名、男性7名)で読書会を開きました。初参加の方が4名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。

読書会って何?

読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。

「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。

読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。

自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。

課題本読書会とは?

事前に読了しておいた課題本について語り合う形式の読書会です。
課題本を読書してる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。参加条件は「課題本の読了」のみです。
推し本披露会が「これまで」を共有する機会とするならば、課題本読書会は「これから」を共有する機会となります。同じ本を読了したという体験こそが、まずは大きな意味を持ちます。「これはさすがに読了は厳しいだろう・・・・・・」といった本が選書されるかもしれません。何とか読了したけど、当日特に意見が出ずに沈黙してしまったり話が脱線してしまう可能性もあります。ですが、本を読んでいる間や読書会中の瞬間瞬間を共有していくことが大切だと考えております。

彩ふ読書会の目的

簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。

家庭でもない。

職場でもない。

貴方にとっての、第三の場所。

居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。

教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。

集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。

「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。

読書会レポート

では、読書会のレポートに戻ります。

読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。

お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。

会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。

開始時刻になったら読書会開始です。

まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。

自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。

今回の課題本はカズオ・イシグロの『浮世の画家』でした。

皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。

難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。

まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。

当日の流れは以上です。

当日出た意見はこちらです。

・今日読み終わったが、語り手の小野の話が脱線したりどう展開していくのか予想がつかず序盤はなかなか進まなかった。100ページを超えた辺りから面白くなってきたが、小野の記憶が曖昧なところがあったり、ぼかして語っているところもあったりして、おじいちゃんの昔話を延々と聞かされているような気分になった。最終的には面白かった。

・今日読み終わった。捉えどころのない話で嘘っぽい話だなと思った。日付の意味を考えたが、日付によって主人公のポジションが変わっていっている。主人公も変わっていってはいると思うが、周りも早く変化していってる。モリさんのような変化しない人もいて、対比で描かれているのか。細かい点で思うところはあったが、トータルでは自分の意見としてまとめきれていない。

・10年前に読んだ。日の名残りや遠い山なみの光を読んで浮世の画家も読んでいて、浮世の画家が一番好きだと言ってきたが全く内容を覚えていなくてショックだった。改めて日の名残りや遠い山なみの光も読み直した。ホームドラマ的展開から始まり戦争のにおいが入り込んで、最後まで読んでいくと老害のようにも。自尊心強くて認めることができないような。リベラルという言葉の訳は違う訳にしてほしかった。

・ノーベル賞をとったあとに読んで今回は再読。こんなにエピソードが入り組んだ話だったかなと思った。最初謙遜しつつ自分はすごい人物だと分かっていた語りがあり、戦争を賞賛するような言動もあったり。彼が自分で言うほどの影響力のある画家だったのか。

・時代の流れや世間の声が感じ取れる作品。彼は変わっていない気がした。流されているだけなのかなと。お見合いで自分の罪を認めたのも本当に思ってたのか?と感じる。ただ人間的ではあるなと思った。

・わたしを離さないでや遠い山なみの光、クララとお日さまを読んできたが、ふわふわっと終わっていて共通しているのかなと思った。小野はそこそこの画家だったのでは。プルーストに影響を受けて時間軸がばらばらでとらわれない書き方をしている。

と、このあたりはお一人お一人にまずお聞きしたことでした。一巡してからはフリートークで時間まで話をします。フリートークではがちがちに話す内容を決めているわけではありませんので、ここまでに出てきた意見を掘り下げたり、新たな疑問、皆に聞いてみたいことなどを話します。

グループ分けを行ってますのでそれぞれ違う話題になったかと思いますが、私のグループでは読書会に向けてカズオイシグロ関連の入門書や資料等を読んで来てくださっていた方もおり、カズオ・イシグロの作風や、小野が誰に似ているのか、似ている人物とはどう違うのか、小野は画家として影響力があったわけではなく役職としての影響力があったのではないかなどなどといった話題となりました。お付き合いいただき、ありがとうございました。

さて、百聞は一見に如かずですので、ぜひ会場に足を運んで実際にご自身で会を体験して頂けたら幸いです。いやいや、もっと事前に調べておきたい!という方は、下のリンク先に詳しいことを書いていますので、宜しければチェックしてみてください。

課題本読書会は、普段手に取らない作品に挑戦できる機会となります。読んだことがある作品の時に参加するのももちろん大歓迎ですが、「読んでみたいと思っていたけど……」と積読状態になっている本、全くタイトルも知らなかった本にも挑戦してみていただけたら幸いです。締め切り効果がありますので、挫折していた本も意外と読めたりしますよ!

お会いできるのを楽しみにしております。

参加者からのレポート

ありがとうございます!

SNSアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ「#彩ふ読書会」で感想をひとことでも書いて頂けると嬉しく思います。読書会を続けていく上での励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。

アンケート結果

今回ご参加いただいた方には、2025年5~7月の読書会に関するアンケートにご協力いただきました。投票数の多かったもので課題本が決まります。回答してくださった皆様、ありがとうございました!

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9つの作品に対し、1人3作品に投票をお願いしました。4つ以上回答されていた方の分は無効票とさせて頂いてます。結果はこちらです!

13票 金閣寺
12票 モモ
12票 風の歌を聴け

9票 おいしいごはんが食べられますように
7票 自転しながら公転する
6票 ダロウェイ夫人
6票 方舟
4票 名もなき王国
3票 スモールワールズ

というわけで……2025年5~7月の課題本が決定しました!順番は私のほうで組ませていただいて……

5/17(土)の課題本は三島由紀夫の『金閣寺』です!!

内容
「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り、31歳の三島が自らの内面全てを託した不朽の名作。血と炎のイメージで描く〈現象の否定とイデアの肯定〉──三島文学を貫く最大の原理がここにある。

ちょうど大阪でも5月に『金閣寺』が課題本となっていたので、5月は東京大阪どちらとも課題本が『金閣寺』となりました!楽しみです!

6/14(土)の課題本はミヒャエル・エンデの『モモ』です!!

内容
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語。エンデの名作。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784001141276

私が年一回は読んでいる本!楽しみ!

7/19(土)の課題本は村上春樹さんの『風の歌を聴け』です!!

内容
1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784062748704

村上春樹さんの翻訳した本は以前『グレート・ギャツビー』を課題本としましたが、村上春樹さんの作品を課題本とするのは今回が初となります。今から楽しみです!

課題本にしてみたい作品としては以下の回答が集まりました。

『本心』 平野啓一郎
『悪いものが、来ませんように』 芦沢 央
『アフターダーク』 村上春樹
『移動祝祭日』 ヘミングウェイ
『東京タワー』 江國香織
『うたかたの日々』 ボリス ヴィアン
『植物少女』 朝比奈 秋
『忘らるる物語』 高殿 円
『アサッテの人』 諏訪 哲史
『すべての、白いものたちの』 ハン・ガン
『天国の五人』 ミッチ・アルボム
『百年の孤独』 ガブリエル・ガルシア=マルケス
『ドグラ・マグラ』 夢野久作
『愛の夢とか』 川上 未映子
『地球にちりばめられて』 多和田葉子
『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂 冬馬
『ゴリラ裁判の日』 須藤 古都離

次回の候補作にあがるかも?です!ご協力ありがとうございました。  

最後に

お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

彩ふ読書会では、本が好きな人同士の交流、居場所作りを目指してます。2、3回と参加して頂くことで少しずつ自分にとって居心地の良い場所になっていくのではないかなと考えておりますので、また是非ご参加頂けたらと思います。

緊張なく楽しめるようになってきたな~となってきましたら、次は「サポーターになる」という楽しみ方もあります。サポーターになると、通常の参加とはまた違った楽しみを味わえます。読書会に三回以上参加経験のある方でしたらサポーターになることができますので、ご興味ありましたら以下の内容をチェックしてみてください。
▶サポーターについて 

次回東京での読書会は4/19です。募集開始しました!!

▶《東京》4/19(土) 推し本披露会(読書会) 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)

▶《東京》4/19(土) 『「ない仕事」の作り方』課題本読書会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)

初参加の方が楽しむコツは「読書会は初めてです」「彩ふ読書会は初めてです」と自己紹介の際に言っていただくことです。私のーさんはお申し込みいただいた時点で分かっていますが、他の参加者の方は知りません。「初めてです」と言っていただけると「よっしゃ!フォローしたろ!」と思ってくださる方ばかりですので、遠慮なく仰っていただけますと幸いです。

以上です。

ありがとうございました!