彩ふ読書会では「実際どんな風に本を紹介してるの? 読書会での本のおすすめの仕方」で紹介した推し本披露会の他に、課題本形式の読書会も開催しています。
課題本読書会とは、指定の本を事前に読んでおき、当日その課題本について語り合う会です。課題本を読んでいる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。推し本披露会はおすすめしたい本を一冊持ってくるだけで参加出来ますが、課題本読書会の場合は「課題本の読了」が参加条件となります。
これまでに課題本とした作品はリストを作ってますので、良かったら参考にしてみてください。
「自由に発言しあいます」と書きましたが!
一体何をどんな風に発言しあっているのよ!
レポート読んでも箇条書きだからよう分からんし……。
と、お思いの貴方へ。
まだ参加したことがないと不安だらけですよね。不安しかないですよね。一回参加したら分かるとか聞くけどそもそもその一回目のハードルが高くて不安なんじゃい!と。ええ、ええ、分かります。
けど不安だから参加するのやめとこってなるのはもったいない!ホントもったいない!
課題本読書会ってめちゃくちゃ面白いんです。せっかく読書好きなのに読書会に参加したことがないっていうのは、人生の半分損してます(いきなり煽るっていう←)
今回はそんな不安を少しでも解消できたらなと思い、課題本読書会について真面目に書いてみました。ぜひ、一歩踏み出して人生の半分を得してください(まだ煽る←)
そこ!もう既にふざけてるじゃあないかとか言わない!先生怒っちゃうわよ!ぷんぷん!
目次
事前準備について
彩ふ読書会の場合、課題本読書会に参加する条件は「課題本の読了」のみです。年齢性別等の参加制限はありません。様々なバックグラウンドの方々が集まるほうが様々な意見に触れることが出来て有意義だと考えているからです。他の読書会さんはルールがあるかもしれませんので、参加予定の読書会さんのホームページ等はチェックをお願いします。ここに書いているものはあくまでも彩ふ読書会の課題本読書会の場合は、という認識でお願いします。
読了さえしておけば参加できますので、ぶっちゃけ課題本を読み終わってさえいれば事前準備は終了です。あとは読書会当日を待つだけ!
……いやいや、そうはいうても!
このページを読んでいるということは、ある程度準備してから読書会に臨みたいということですよね。
え、なんでそこまでわかるの?!と思った貴方!そう、ワタクシ何を隠そう人の心が読め(嘘です)実は私自身、初めてのときは不安すぎて下調べしまくった人間だからです。その結果どうだったかは次の「当日について」で書きたいと思います。
読み終わったけど「面白い」「面白くなかった」「つまらなかった」としか思わなかったんだけど……という方や、読書会に事前準備しておきたい方は以下のようなことを意識しながら読んでみてください。もちろん、「面白い」「面白くなかった」も意見の一つですし作品によっては本当何も浮かんでこないよ!ということもあります。自分の意見を言うよりみんなの意見を聞いてみたいというスタンスで参加されるのも大歓迎ですので、以下のことはあくまでも参考程度で薄目でさらさらっと流し見るくらいで大丈夫です。
彩ふ読書会では小説を課題本とすることがほとんどなので、小説バージョンでお届けします。ビジネス書だとまた変わってきますのでそれはまたの機会に。ではいきましょう!
①作品が面白かったかどうか
実際に課題本を読んでみて面白かったか面白くなかったか。まずはここから改めて自分自身に聞いてみましょう。読書会のトークはここから始まることが多いです。まあぶっちゃけていうと課題本を読んで読書会に参加している方々が集まっている場にはなりますので、序盤は「面白かった」という意見がやはり多くなりがちです。ですが、面白かったと言っていた方も読書会中盤からは作品にツッコミやダメ出しをすることがあります。面白くなかったと言っていた方も「この部分は面白かったな」と感じることがあったりします。全体を見て「面白かった」「面白くなかった」と判断していたものが、部分部分を見てみるとそうではなかった、ということが読書会中には起こったりします。最初に面白かったと言ったからそのまま主張を通さないといけないということはありません。意見はコロコロ変わって大丈夫です。
そもそも何故「面白い」「面白くない」と思ったのでしょうか?
そこには色んな要素があるかもしれませんね。
②読みやすかったかどうか
課題本を読んでいてスラスラとページが進んだか、全然進まなかったか。これも一つの意見ですね。「面白かったかどうか」と同じく、これも序盤に話題になることが多いです。課題本を読んでみて、実際どうでしたか?
全体的に全然ページが進まなかったということもあれば、最初は進まなかったけど途中から進みだしたということもあれば、最初からスラスラとページが進んだということもあるでしょう。
読みにくかったのは普段読んでいる本とは文章が違ったからかもしれません。普段本自体をあまり読まなくて課題本読書会をきっかけに読んでみたという方だったら、長い文章に慣れてなかったからとかもあるかもしれません。逆に読みやすかったのは普段読んでる本と似ていて読み慣れていたのかもしれません。
例えば東野圭吾さんの文章はあまりクセがないと言われています。クセのない文章に慣れていると作家さん独特のクセのある文章には慣れるまで時間がかかるかもしれません。あと、私はSFモノを読んでいるとよくあるのですが、「○ページまでは読みにくかったけどそこからは読みやすくて一気読みだった」ということがあります。これは文章自体というよりはSFの世界観や設定が頭に入ってなくて読みづらさを感じていることが多いです。世界観や設定が入ると途端に読みやすくなったりします。作家さんによっては句読点がなんか多いなあと感じたり、逆に全然句読点がない!という作家さんもいたりします。
読みやすかったかどうかも自分の意見を作る上では貴重なとっかかりの一つです。ページの進み具合を意識してみると、自分にとって何か一つ発見があるかもしれません。
③登場人物に感情移入できるかどうか
小説の場合、大抵は物語があり主人公がいます。主人公に感情移入できるかどうかは一つのポイントです。「まるで私だ!」と思えるような主人公もいれば、「全然分からん……!」となる主人公もいることでしょう。「自分とは全く違う性格してるけど好き」という主人公もいると思います。主人公が物語を動かしていくので、感情移入出来るかどうかは「面白いかどうか」「読みやすいかどうか」にも繋がっていくかと思います。
作品によっては主人公以外に魅力的な登場人物が出てくることもありますし、むしろそっちの人物に感情移入することもあるでしょう。
④主人公以外の視点で考えてみる
作品によって心理描写が多いものもあれば少ないものもありますが、いずれにせよ主人公がやはりメインとなるので、それ以外の登場人物は主人公ほど生い立ちや心理描写が描かれることはないかと思います。「あの人があの行動をするまでに一体どんな過去があったんだろう?」みたいに、作中では描かれていない部分を想像してみると面白かったりします。
⑤作品のテーマを推理してみる
大抵の作品にはテーマが存在します。本の裏表紙のあらすじに書かれていたりもしますが、例えば家族をテーマにしていたり、友情、努力、勝利……(あ、これはジャンプですね)戦争、恋愛、冒険、平和エトセトラエトセトラ。「この作品のテーマは〇〇です」なんて直接書かれていることはあまりないと思いますので、これも書かれていない部分を想像パターンですが、物語が何をテーマにしているのか、何を伝えたいのかを推理しながら読んでみるのも意見を作る上での取っ掛かりとなります。正解を探すわけではありませんので違っていても全然OK。何なら自分自身が普段考えていることと、作品のどこか一描写がばっちりはまることもありますので、全体のテーマを見るよりは要所要所を見ていくと面白いかもしれません。
⑥世界観や設定について考えてみる
舞台が現代日本ではない場合、例えば戦国時代とか江戸時代初期、幕末だったりすると、今の価値観とは違ったりします。ふーん、そういうもんなんだなーで受け入れてみるとスラスラとページが進むでしょうし、むしろ違和感だらけでツッコミどころ満載!とかだとそれはそれで沢山メモも出来るかと思います。
外国が舞台だったりすると、知らない文化を知ることも出来ます。例えば日本にはない料理が出てきたりシステムがあったり。「その料理美味しそう」とか「こういうシステム日本にもあったら良いのに」なんて意見も出てくると面白いですね。例えば本ではないんですが、ある韓国ドラマを見ていたとき、銀行員の稟議の通し方が全てパソコン上で完結しているシーンがあって、話の本筋とは全然関係ないところでしたが、「え、こんなシステムうちにも欲しい……」と驚きました。
あ、あと本でもドラマでも何でもないんですが、最近雨の日にリュックを背負うではなく前にかけているのをよく見るようになりました。傘をさしててもリュック背負ってると濡れちゃうんですよね。けど前にかけてたら傘の中に入るから濡れない。このリュック前かけスタイルを私が知ったのは10年くらい前で知り合いの方がやってたからなんですが、そのころは「良い案だけど見た目的には……」と思ってやらずにいました。けど最近年をとってきたからか「そうも言ってられん!濡れるし!」とリュック前かけスタイルをやり始めました。いざやってみると便利。そして周りにも結構やってる人がいたんだなあということに気づきました。もしかしたら私の住む地域限定かもしれませんが、私の周りでは流行の兆しが見られます。って、めちゃくちゃ脱線してますね!
脱線はしましたが、こういったことも読書会では話題にしてみると「それでいうと私は……」なんて感じで、他の方も気になってたシーンの話をされたりして盛り上がります。脱線大歓迎。現代日本との価値観や感覚の違いなんかは色々とメモしておくと良いです。
あとSFだったりファンタジーだったりすると世界観も設定も現代日本とは全く違うものが出てきます。例えば〇〇という能力が使えたら……みたいに想像するのも面白いです。
⑦自分に置き換えてみる
このパートとしては最後になります。最後は「自分に置き換えてみる」です。どういうことかというと、①~⑥全てに関係することですが、自分自身にとってどうか、を考えていただきたいということです(ん?余計に分からなくなりましたね!)
例えば、「自分がもし20代のころに読んでいたらどう感じていたか」「(子どもの頃に読んでた場合)昔と比べて感じ方が変わっているかどうか」「男性視点、女性視点」「年代視点」「仕事観」などなど。自分自身のバックグランドと作品の共通点、共通しない点を探してみる。あるいは作品の主人公に自分を置き換えてみて「もし主人公が私だったら、あのシーンでこういう行動はとらなかった」とか、そういった事を考えてみると、これもまた意見が浮かんでくるかもしれません。
さて、事前準備については大体書き終わりました。
色々と書きましたが、あくまでも不安な場合の対処法ですので、これらのことを全て考えてくる必要はありません。課題本読書会の参加条件は「課題本の読了」のみですので、とりあえず最後まで読んで頂けたら何ら問題ございません。読了についても、作品によっては最後まで読めないものもあると思いますので、どーしても無理だって思ったら読めなくても大丈夫です。何故読めなかったのか、みたいなところをお話いただけるとこれもまた興味深かったりします。
私自身、課題本の読み方についてはまだまだ試行錯誤が続いています。これ!といったスタイルが確立できていません。ですが、個人的に一つだけ意識していることがあります。
それは、「読書会前に作品レビューはなるべく読まないようにする」ということです。影響されやすい人間なので、レビューを読むとそのコメントに影響されて、さも自分の意見のように言ってしまうことがあるからです(^^;)
読書会に来られる方は、レビューを聞きたいわけじゃないんじゃないかなと思います。それならばネットで見れば良い。それよりも、貴方自身の言葉が聞きたい。貴方の生き方と作品がどのように結びつき、混ざり合うのか、そんなところを知りたかったりします。
読んで感じたことに間違いなんてありません。
ぜひ、ご自身の言葉で、ご自身が感じたことを伝えてもらいたいなと思っています。
って書いておきながら何ですけども、作品によっては先にレビューを読むこともあります(どっちやねんですな!)たまに、これはどういう話なんだろう?と、わけがわからなくなって途中で読むのをやめたくなった時なんかは、先にあらすじやレビューを読んだり、漫画や映画があれば先に触れたりもします。読み方にも間違いなんてないと思いますので、お好きなように読んだらよろしいかと思います。
事前準備については以上です。
当日について
さあ!
当日までの準備は万端だぜ!
行くぜ!
会場に到着!
受付?オッケイ!
自己紹介?オッケイ!
さあ始まりました読書会!
準備しておいたメモが炸裂するぜいヒャッハー!!
喋り終わったぜヒャッハー!!
……残り時間60分です。
……え?まだそんなに時間あるの?もう喋ることないんだけど……。
はい、これは私が初めて課題本読書会に参加した時に実際に起こったことです。
読書会が始まって開始10分程度で私の感想は終わってしまったのでした。割としっかりめに準備していたはずが、いざ喋ってみるとそんなに尺はなかったのであります。その後、進行の方に何度か振っていただいたものの、咄嗟の発言が苦手だった私は「あー」とか「うー」とかしか言えず終わってしまったのでした。
ただ、喋れなかったから失敗だったというわけでは全然ありませんし、参加しなければ良かったなんて思うことも一切ありませんでした。むしろ他の方の意見を聞いているだけで面白かったですし、「そういえばのーさんの意見で思ったんですけど……」と、私自身の意見がきっかけで話題が広がることもありました。
どれだけ準備していても、いざ読書会が始まってみると自分では思いつきもしてなかった点に着目されている方がいたりします。逆もしかりで、貴方の意見が新鮮に感じる方もいらっしゃいます。自分以外の意見を知ることが出来て、そこから新たに発想が浮かんだり何かを思い出したりすることもあります。自分と他者の意見が混ざり合ったり結びついたりはたまた全く乖離していたり。共感だけではない何か。その状況をリアルタイムで楽しむことが出来るのが、課題本読書会の魅力であり面白さです。
あと、これが最も肝心なことなのですが、「相手の意見を否定しない」というスタンスで読書会には臨んでください。読書会が始まる前に必ずお伝えしていることなのですが、これだけは守って頂きたいです。
自分の主張を押し付けたり相手を論破しようとしてしまうと、その場では誰も意見を言わなくなってしまいます。「この人の前では何も言わんとこ」という気持ちになるからです。そうなってしまったら誰も得しませんし、一気に楽しくないものとなってしまいます。
それよりも「みんなで会話を繋げていく」ということを意識してみて下さい。
「こんな考え方もあるんだなあ」なんてスタンスでいると、自分とは違う意見を持つ方に対しても、「一体どんなバックグランドがあるんだろう」「どんな風に物事を捉えているんだろう」なんてことが気になってきたりします。ちょっとした発言がどんどん広がっていくこともよくあります。自分的にはしょーもないことを言ってしまった!という発言であっても誰かが拾ってくれるかもしれません。数撃ちゃ当たる、ではありませんが、思い付きの発言のほうが場を盛り上げることは結構頻繁に起こります。心理的安全性というらしいんですが、誰に対してでも安心して発言できる状態を同じテーブルの参加者全員で作り上げることが出来れば、その回は貴方にとってきっと忘れられない回になることでしょう。読書会は生ものですので、そうなる回もあればならない回ももちろんありますが、どちらにしても一つ一つの回が私にとっては貴重な体験になっています。だからやめられないんですよねー!
というわけで。
書いておいてなんですが「事前準備について」にあったことはゴミ箱に背負い投げしてしまいましょう!とりあえず読了!読了!読了!読了する前に申し込み!あるのみです!
ちなみに読了してから参加しよ〜と考えるよりも、まず先に申し込みすることをオススメします。なぜなら当日までに読み終えなくては!といういわゆる締切効果を得られるからです。一見ページ数が多くて挫折しそうだったり普段読まないジャンルで挫折しそうだったりしても、締切効果があると意外といけたりします。オススメです。
読書会後
さあ、初めての読書会が終わりました。お疲れ様でした!初めての体験は何かとお疲れでしょうから、まずはお好きなドリンクでも一杯どうぞどうぞ。
さて、感じることは沢山あったと思います。面白いか面白くなかったか、なんてことだけでは言い表せない何かを掴めたなら何よりです。
事前準備は必要ないと書きましたが、事前準備しておくと終わった後に自分自身への特典があります。それは、一人で感じたことと、読書会でメモした内容との違いを見比べられることです。
貴方自身の考えがガラッと変わっているというわけではなく、貴方一人では気づけなかった点にハッとする、そんなことがあったのではないでしょうか。もちろん、考え方がガラッと変わることもあったかもしれません。「なるほど!こういう考え方もあるのか!こういう視点があったか!」ということもあったかもしれません。そういうものが一つでも得られたのならば、それは一方的に喋ったのではなく参加者の方々と素敵なキャッチボールが出来ていたということです。
あと、作品によってはその後の日常生活でふと思い出す瞬間というものも出てくると思います。「あ、これはあの読書会のときに読んだ本のあれだな」とか、「あー、こういう感覚だったのか」みたいな。課題本読書会をきっかけに読んだ本はえてしてそういう体験をすることがあります。ぜひ、読書会の後もその体験を楽しみにしてみてください。それもまた課題本読書会の楽しみ方の一つです。
以前、読書会前と読書会後で私自身がどう変わるのか、ということを実際に試みてみた記事があります。こちらでは『消滅世界』を課題本にしてみてますので、より具体的にどんなことを私がメモしていたのか分かるかと思います。もし良かったら参考にしてみてください。
長くなりましたが、私からは以上です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!