読書会を立ち上げる前の私は仕事に熱中していた。それはもうアツイ男だった。今傾けている読書会への熱量を全て仕事に向けていたとご想像頂ければ何となく分かるだろうか。その頃の私は周囲にアツイ言葉を放っていた。
その当時に放った言葉を覚えてくれていた人がいた。とある席、私に注目が集まる機会があったとき、皆の前でそのエピソードを語ってくれた。とても心を動かされていたらしく印象に残っていたそうだ。しかし、当の本人である私は全く身に覚えがなかった。
「そんなん言うてない!言うてない!」
否定した。2回否定した。
「いや、言ってましたよ!」と言われたけれど、本当に覚えていなくてかたくなに否定した。そのあとに流れる空気の冷たさよ。言ったかどうかは置いといて、好意的に言われているのだからうんうんと頷いておけば良かったのだ。感動的になりうるシーンをナチュラルにぶち壊すワタクシ。ああ、やっちまった!
私にはそういうところがある。ただそれだけの話。
ただ、実際その人が覚えていてくれた言葉は、「まさにそのとーり!」と後々に感じた。自分が昔言った発言が逆輸入してきた感じ?そうそう、そういえば私アツい男だったんだよ!なんて、また再び熱量があがっている。がんばりすぎずにがんばろう。そんな風に思った夜であった。