イソベーが読む『ドグラ・マグラ』

 

拙者の名はイソベー。

 

立派な武士になるべく日々勤しむ男でござる。

 

え?ナニに勤しんでおるのかって?

 

そこまで聞くのは野暮というものでござろう。

 

え?

 

聞きたい?

 

しつこいなあ。

 

ナニはナニでござるよ!

 

読書でござる!!

 

世間が「もうすぐくりすますだね」などと現を抜かしておるうちに、少しでも差をつけておかねばならぬのでな。読書は武士のたしなみなのでござるよ。

 

今日も今日とて河原でこんな本を見つけましてな。

 

 

「ドグラ・マグラ」

 

 

表紙がとても文学的で魅力的なのでござる。肝心な所に邪魔な文字が入っておるのが残念ではあるが・・・・・・まあ、中身はきっとどえろ・・・・・・どえらい描写があるでござろう。

 

さて、無事に家まで持ち帰ることは出来たのでござるが、家には母上がおるのでござる。とりあえず声はかけておくでござる。

 

イ「母上ー、拙者、今から修行するでござる。部屋に入って来ないでね」

 

母「はーい」

 

よし、ひとまず安心で候。

 

では、いざ!参らん!春画の世か――

 

母「イソベー」

 

はっ!!襖ごしに母上の声!

 

(イソベー、本をさっと隠す。襖開く。ジョジョ立ちのイソベー)

 

母「お夕飯、何にする?あら?イソベー、何してるの?」

 

イ「スタンドの練習でござる!!」

 

母「??? 頑張っているのね、イソベー」

 

イ「そうなのでござる!なので部屋には入らないで頂きたく候!」

 

母「はいはい、頑張ってね。あ、お夕飯考えておいてね」

 

・・・・・・ふう。危うく本気でスタンド発現する所でござったわ。

 

では、改めて。

 

いざ!参らん!春画の世か――

 

母「イソベー」

 

はっ!!また!?

 

 

~~中略~~

 

 

ふう、ようやく母上も諦めてくれたようでござる。

 

いざ!参らん!春画の世界へ!!

 

 

 

鼻血ブーーーーーー!!!

 

 

 

鼻血が、ブーーーーーーでござ・・・・・・!!!

 

 

 

文字ばっかりでござる。

 

過激な画はなかったでござる。

 

ちぇっ、でござる。

 

ポイッ。

 

再び河原に捨てられたドグラ・マグラは次の獲物を探している。いつまでも、いつまでも。

 

メガネ君「おや?なんだこれは」

 

・・・・・・完

 

(なんだコレ笑)


《文:nonono》

 

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