《Review》君の膵臓をたべたい/原作:住野よる 作画:桐原いづみ

タイトルのインパクトがすごいですよね。「膵臓をたべたいってどういうこと!?」と、ずーっと気になってた本です。

ただ、以前流行った「世界の中心で愛を叫ぶ」とタイトルのインパクトさやら大まかな内容やらが何となく似てるような気がして敬遠していました。高校生の男女がいてー彼女が病気でー・・・・・・みたいな?大人になっちゃった今は冷めた目線でしか見れないだろうなーと思いつつだったんですが、マンガ版があると知りそっちを読んでみました。原作も映画も見てないので単純にマンガだけの感想ですが・・・・・・。

 

心、打たれました・・・・・・!!

 

震えました。響きました。じーんと心に突き刺さるシーンがたくさんありました。敬遠していた自分を殴ってやりたいぃぃぃぃ!≡〇)`Д゚).・;’∴スパーン

この作品では、膵臓を患い余命わずかな少女・咲良とクラスメイトの“僕”との交流が描かれています。咲良は明るい性格で誰からも愛されている人気者。“僕”は人に興味を持たず地味で目立たない存在。二人は同じクラスではありますが接点はありませんでした。

ある日、病院に行った“僕”は待合室で「共病文庫」と書かれた本を見つけます。それは咲良の書いた日記でした。中身を読んでしまったことで咲良が膵臓を患っている事を知ります。“僕”は気を遣って知らないフリをしようとしますが、咲良はあっけらかんとした様子で自分が膵臓の病気であることを告げます。家族以外には内緒にしている秘密を“僕”と咲良は共有することになります。それが二人の初めての会話でした。

同じ図書委員として仕事をしたり旅行に出かけたりする中で、“僕”は咲良に影響されていきます。正反対に思える二人。でも実は似ている部分もあって互いに惹かれ合っているのが分かります。病と闘う少女と寄り添う“僕”といったストーリーではなく、二人はごく自然に、たまに死をネタに笑いをとるくらい何気ない日々を過ごしていきます。二人の会話のやりとりがすごく良いです。

なぜ闘病日記ではなく共病文庫という名前にしたのか? そこにも咲良の人物像が見てとれます。基本“僕”視点で書かれているのでマンガ版では描かれてないし原作にもあるのかどうか分からないんですが、作中の彼女は決して悲劇のヒロインではありませんでした。病を告げられた時には頭が真っ白になったり不安になって泣いたりしたようですが、“僕”と初めて会話をした頃には「自分の運命を恨まない」と既に心に決めています。

真実か挑戦ゲームで、“僕”は彼女に「生きるってどういうこと?」と問いかけます。この時の答えがすごく響きました。人と接することだったり、自分とちゃんと向き合わなくちゃなあと心を刺激されます。

多分、読む人の背景によって感じることは違うのかなーと思います。俺自身は身近な方の訃報が続いた時期がありまして、生きる意味だとか死ぬ事について考えていたことがありました。付き合いが深くなればなるほど互いに何かしら影響を受けてるもんやと思うんですが、亡くなった方はそれぞれ俺の価値観や物事の捉え方なんかを変えてくれたり広げてくれたり教えてくれた方でした。生前もっと関わっておけば良かったとか、何であの時あんな態度とったんやろとか、色んな後悔や思いを抱きました。後悔してるくせに同じようなことを繰り返してしまって自己嫌悪したりなんかして、なかなか消化しきれないまま忙しさに追われて目を背け・・・とまあ、それが3年くらい前のことで既に自分の中では消化できたお話なんですが、今回改めて生と死について問いかけられた気がします。だからこそ余計に心打たれたわけなのであります。

ラストまでめちゃくちゃ面白かったです!

マンガ版だと上下巻で完結してるのでサラッと読めてオススメです♪原作も読んでみようと思います。

《文:nonono》

 

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