《Review》恍惚の人/有吉佐和子 家族が認知症になったら・・・?

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福祉関連の雑誌の対談コーナーで話題に出てて気になったので読んでみた本です。1972年に出版された本なのに色褪せた感じがしないのは結局制度がどうこうなったとしたとしても人間の本質は変わらないということなのか・・・・・・はてさて。

ウィキ先生によると、この本は「認知症」をいち早く扱った作品で、1972年の年間売上1位194万部のベストセラーになったそうです。対談してたお爺ちゃんたちは「恍惚の人の~」「あ~、あの作品ね」と、知ってて当然な話し方でしたが、まだ生まれてなかった世代としてはピンとこないですね。でも、今でも読める、というか今だからこそ読んでおいた方が良い作品だと思いました。

立花家の嫁・立花昭子と、舅・茂造の二人を中心に作品は描かれています。

茂造は昭子をいじめていましたが、妻が急死した後に認知症が進み、昭子に頼りきりの生活になります。自分をいじめていた相手の介護をすることになるのだから、この時点で昭子の心情は推して知るべしですね。

深夜徘徊や幼児退行、排泄エトセトラ・・・・・・「やってられっか!」とそりゃ投げ出したい気持ちにもなるでしょう。でも、嫁であるがゆえに、女であるがゆえに、周囲からは面倒を見るのが当たり前だと思われていて逃げ場はない。世間体もある。

嫁にこういった負担がほとんど全部降りかかってくるってーのは今でもあんまり変わっていないような気がします。「家のことは嫁がすること」といった思想はやはり根強くて、いくら介護保険やデイサービスなどの制度を整えたとしても、この思想をどげんかせんといかん気がするんですが・・・・・・。

息子の敏が介護に協力的なのが若干救いではありますが、夫・信利は介護には関わりません。認知症の進行する父の状態が自分の未来に重なって見えるため、やりきれない思いを抱えていたりします。

いやいや信利よ!家族みんなでやらなあかんでしょ!なんて憤ったりもするんですが、本音をいえば信利のやりきれなさも何となく分かってしまいます。父は自分の未来の姿でもありますからね。だからといって全く介護しないってのはどうかと思いますが。

まあ、俺もまだ直面していないから簡単に言ってる部分はあるのかなあと思います。自分の親が認知症になったら・・・・・・うーん、一体どうするだろう。不安だらけだ。この本を課題本に読書会なんてやってみたい所ですね。色んな方の意見が聞いてみたい。

数年後に読み直してみたら多分違った感想が出てくるような深く考えさせられる作品でした。どこの家族もいずれ直面する問題ですし、一読しておく事をオススメします。

《文:nonono》

 

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