2024年11月4日、大阪でカミュの『異邦人』を課題本とした読書会を開催しました。
今回は主催含め8名(女性4名、男性4名)で読書会を開きました。初参加の方はいませんでした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。
目次
読書会って何?
読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。
「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。
読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。
自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。
課題本読書会とは?
事前に読了しておいた課題本について語り合う形式の読書会です。
課題本を読書してる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。参加条件は「課題本の読了」のみです。
推し本披露会が「これまで」を共有する機会とするならば、課題本読書会は「これから」を共有する機会となります。同じ本を読了したという体験こそが、まずは大きな意味を持ちます。「これはさすがに読了は厳しいだろう・・・・・・」といった本が選書されるかもしれません。何とか読了したけど、当日特に意見が出ずに沈黙してしまったり話が脱線してしまう可能性もあります。ですが、本を読んでいる間や読書会中の瞬間瞬間を共有していくことが大切だと考えております。
彩ふ読書会の目的
簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。
家庭でもない。
職場でもない。
貴方にとっての、第三の場所。
居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。
教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。
集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。
「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。
読書会レポート
では、読書会のレポートに戻ります。
読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。
お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。
会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。
開始時刻になったら読書会開始です。
まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。
自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。
今回の課題本はカミュの『異邦人』でした。
皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。
難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。
まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。
当日の流れは以上です。
当日出た意見はこちらです(ネタバレ含む内容になりますので、これから読む方は前回分のレポートをご参照ください)
・2、3年前に初めて読んだときは3ヶ月かかったが、再読したら2時間ちょっとくらいで読めた。ムルソーの心理描写がほとんどないので何を考えているのか分かりにくく、共感しながら読むのは難しかった。読んでいると真夏の太陽を浴びているような感覚になる。
・有名な本だが課題本にならなかったら読んでなかった。3日前に読み始めて、翻訳もうちょっとうまく訳してくれと思った。古い時代だからか、ナイフを匕首と言うか?読みづらさがあった。淡々と進むのは村上春樹の主人公っぽくて面白かった。キリストの基盤があったわけで、反する考え方、死ぬことで出ていく。罪を犯しているシーンがうまく書いてるなと思った。
・初カミュ。積読していた。前半を読んでいるときには何故取り上げられているのかいまいちわからなかった。前半と後半で印象が変わった。ムルソーをどう読むか。子どもっぽい成熟しきっていない違和感ある人物という印象だったが、後半の裁判で腑に落ちた。ムルソーの周りが一般人になるが、罪を犯した前後を解釈していて、裁判の彼らもまともなのか?と思った。これはやられたなと。対極を見せながらどちらにもおかしなところがあり、マスメディアと自分たちも一緒だと感じた。
・積読の一冊だった。コロナ禍にペストを読んだ。主人公が分からずついていけなかった。アラブ人を殺す理由が何もないし罪悪感を感じていないのもすごいなと。無差別殺人をする人ってこういう人か?裁判も他人事。こういう人を書いたのがすごい。
・一年前にも別の読書会の課題本になったが、そのときはめっちゃおもんなと思った。昨日から再読したらめっちゃおもろいとなった。ムルソーはうそをつかない。裁判辺りから難しくなったが、ムルソーの罪は殺人を犯しただけ(それももちろんいけないことだが)ムルソーがムルソーであることを裁かれている。
・5、6年前に読んだ。絶望した不条理。153ページを何回も読み返した。マリーにも冷淡な印象。前の人たちの話を聞いていたら、ムルソーは純粋な人なのかなと思った。悪くいえば愚直。道徳的なものに迎合しない人。病、暴力、天災など自分ではどうすることもできないものが襲い掛かってきたとき、どういう生き方をすれば良いのか。
・初カミュ。思いのほか面白く読めた。主人公の語りは淡々と書かれていてこの先読めるかと思ったが日常が出てきてからはひきこまれて一気読みだった。ムルソーに共感、理解できる。今あるものには関心示すが、世間的な価値観からは外れた人物として描かれている。裁判では本人語らない。神父との話もかみ合わない。ムルソーは生き方が正直で、考え方に共感、憧れる。
・10代のころに読んだ。わけわからんかった。老人と海と違い、なかなか難しかった。ムルソーはまともなとこもあるやん、おかしいのは周りやん?と思った。母の死をムルソーは確認したくなかったのではないか。
と、このあたりはお一人お一人にまずお聞きしたことでした。一巡してからはフリートークで時間まで話をします。フリートークではがちがちに話す内容を決めているわけではありませんので、ここまでに出てきた意見を掘り下げたり、新たな疑問、皆に聞いてみたいことなどを話します。
今回、初めて読んだ方もおられれば以前読んだことのある方もおられて、感想も様々でした。全員が一巡するだけで時間終了間近となっていたので、少し延長してフリートークを行いました。ちょっとした裏話を一つ(か、二つ?)ここ最近は大阪会場の課題本読書会にも毎回参加してくださる方や定期的に参加してくださる方が増えてきてまして、ありがたいなあと思っております。グループ分けをするか、1グループで行うかは毎回悩むところでして、結構ギリギリまで悩んでいるのですが、今回は2グループに分けても良かったのかなあなんて思いました。ただそうなると4名ずつになっていたので、8名で行った今回のように様々な意見が出ていたかどうかは分かりません。少人数になると「皆の意見を聞きにきた」という姿勢で参加されている方も、ちょっと頑張らないといけなくなっちゃいますしね。今回はおられませんでしたが、特に初参加の方がおられるときは「今回は様子見しとこか」という感じでも参加しやすいようにしておきたいので、グループ分けするときにはせめて5名以上、理想は6名くらいでやりたいところです。まあ、たらればの話なので、今回はこの8名1グループで行えて良かったと思うようにします。あ、あともう一つ(ありました!!)。前回の課題本『老人と海』と今回の『異邦人』は、私がコロナ禍中に「今の時期に名作に触れておこう……」と半ば無理くり必死になって読んだ二作品でした。しかし、読むのに時間もかかり、内容も理解できない……読書会で皆さんの意見を聞きたーい!!とうずうずしていた作品でした。今回課題本にできて皆さんの意見を聞くことが出来て嬉しかったです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
さて、百聞は一見に如かずですので、ぜひ会場に足を運んで実際にご自身で会を体験して頂けたら幸いです。いやいや、もっと事前に調べておきたい!という方は、下のリンク先に詳しいことを書いていますので、宜しければチェックしてみてください。
課題本読書会は、普段手に取らない作品に挑戦できる機会となります。読んだことがある作品の時に参加するのももちろん大歓迎ですが、「読んでみたいと思っていたけど……」と積読状態になっている本、全くタイトルも知らなかった本にも挑戦してみていただけたら幸いです。締め切り効果がありますので、挫折していた本も意外と読めたりしますよ!
お会いできるのを楽しみにしております。
参加者からのレポート
▶彩ふ読書会の参加録~11/4大阪・『異邦人』(カミュ)課題本読書会編~/ひじきさん(外部サイトに移動します)
ありがとうございます。
SNSアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ「#彩ふ読書会」で感想をひとことでも書いて頂けると嬉しく思います。読書会を続けていく上での励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。
最後に
お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。
初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。
参加してくださった皆様、ありがとうございました!!
次回大阪での読書会は11/4です。
▶《大阪》12/1(日) 推し本披露会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)
▶《大阪》12/1(日) 『桐島、部活やめるってよ』課題本読書会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)
初参加の方が楽しむコツは「読書会は初めてです」「彩ふ読書会は初めてです」と自己紹介の際に言っていただくことです。私のーさんはお申し込みいただいた時点で分かっていますが、他の参加者の方は知りません。「初めてです」と言っていただけると「よっしゃ!フォローしたろ!」と思ってくださる方ばかりですので、遠慮なく仰っていただけますと幸いです。
以上です。
ありがとうございました!