《大阪》2024年10月13日(日) 『老人と海』課題本読書会レポート

2024年10月13日、大阪でヘミングウェイの『老人と海』を課題本とした読書会を開催しました。

今回は主催含め9名(女性5名、男性4名)で読書会を開きました。初参加の方は2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。

読書会って何?

読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。

「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。

読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。

自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。

課題本読書会とは?

事前に読了しておいた課題本について語り合う形式の読書会です。
課題本を読書してる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。参加条件は「課題本の読了」のみです。
推し本披露会が「これまで」を共有する機会とするならば、課題本読書会は「これから」を共有する機会となります。同じ本を読了したという体験こそが、まずは大きな意味を持ちます。「これはさすがに読了は厳しいだろう・・・・・・」といった本が選書されるかもしれません。何とか読了したけど、当日特に意見が出ずに沈黙してしまったり話が脱線してしまう可能性もあります。ですが、本を読んでいる間や読書会中の瞬間瞬間を共有していくことが大切だと考えております。

彩ふ読書会の目的

簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。

家庭でもない。

職場でもない。

貴方にとっての、第三の場所。

居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。

教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。

集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。

「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。

読書会レポート

では、読書会のレポートに戻ります。

読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。

お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。

会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。

開始時刻になったら読書会開始です。

まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。

自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。

今回の課題本はヘミングウェイの『老人と海』でした。

皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。

難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。

まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。

当日の流れは以上です。

当日出た意見はこちらです(ネタバレ含む内容になりますので、これから読む方は前回分のレポートをご参照ください)

・老人と海はコロナ禍中に読んでおかななと思い読んだ。中古で買ったら売った人が線を引いてて、なんでここに線引いたんと気になって頭に入ってこなかったが、老人と少年の関係性や老人がひとりで語るところは良いなと思った。ただ深読みしようとすると何を訴えたかったのか分からないところがあり、皆さんの意見を聞いてみたいと思った。

・ヘミングウェイの作品は『日はまた昇る』で一度挫折した経験がある。ハードボイルド。自分の人生を振り返ったとき何をしたのか?何もしてないなとむなしくなる。

・今年角川で新訳が出たときに読んだ。ストーリーは知っていて予定調和ではないが思っていたとおりの話で印象に残らなかった。主人公が自分には刺さらなかった。少年に対する姿勢は、弱さを見せつつも漁に対する姿勢などを残していこうと思っていたのではないか。彼は諦めていない。道徳的、説教くささもあり、それはすばらしいなと感じた。

・話が入ってこず読みにくかった。ところどころ漢字で読めないところもあり、自分の生活ではまず見ないものばかり。自然と関わりがなく距離感があるなと思った。共感できる人は現代にいるのか?「老人と海」というタイトルは名作じゃないとつけれないタイトル。課題本を機に海を見に行ったら、実際に老人がいて、でも実際に見るときついなとも感じた。人が残せるものはなにか?

・何が言いたいのかが分かりにくかった。老人と少年の関係性は良いなと思った。親子ではないがお互いが好きでという関係。登場人物が少なく、老人は鳥や魚や自然、自分に話しかけているけど、その独特の感じが良かった。身体感覚がリアル。

・昔読んだことがあるが10代で読んだときは感想がなかった。今回どうかと思ったが何から言ったら良いのかと思うほど感想が溢れた。老人と少年の関係や、少年は何歳なのか、父は何をしているのか、学校に行っているんか、義務教育はあるのかなど気になった。老人と少年は離れている間もお互いのことを考えている。

・何を話したら良いかと思っていたが、皆さんの感想を聞いて安心した。自然や相手へのリスペクトを感じる。魚に対して「付き合う」という表現があったり、原文はどうなっているのか気になる。自分自身の父親の姿を思い出したりした。

・10年前に読んだ。そのときは魚とられて残念くらいにしか思わなかったが、原文で読んでみるとこんなに美しい表現、救いのある話なんだなと感じた。年を経るごとの老いはあるが、もがいているのが美しいと思った。ラスト2ページの文章が好き。老いていく中で、それでも少年がそばにいてくれて救いを感じた。読んだ時期も影響する気がした。

・新潮文庫で読んだら少年が何歳なのか引っかかってしまったが、角川の新訳で読んだら18、19歳に設定されてしっくりきたので読めた。ヘミングウェイ自身が老いてから書いているので投影している部分もあるのではないか。「負けるわけがない」からの過程を見るのがすごくつらかった。最後悲しく終わるのではなく希望があった。

と、このあたりはお一人お一人にまずお聞きしたことでした。一巡してからはフリートークで時間まで話をします。フリートークではがちがちに話す内容を決めているわけではありませんので、ここまでに出てきた意見を掘り下げたり、新たな疑問、皆に聞いてみたいことなどを話します。

今回、「名作だから読んでおこうかな」といった感じで昔読まれていた方や今回課題本になったのを機に読まれた方が多くいらっしゃいました。私を含めて、「何話そうかな……」と感想がなかなか浮かばなかった方も多かったように思います。ただ、話していくうちに色々な話題へと入ることが出来ました。個人的には少年の背景など、作品の中では描かれていない部分に想像を膨らませることが出来て面白かったです。原文で読まれた方も参加してくださってましたので、日本語ではどう書かれていたのか、また翻訳者によっての表現の違いなども話題となりました。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

さて、百聞は一見に如かずですので、ぜひ会場に足を運んで実際にご自身で会を体験して頂けたら幸いです。いやいや、もっと事前に調べておきたい!という方は、下のリンク先に詳しいことを書いていますので、宜しければチェックしてみてください。

課題本読書会は、普段手に取らない作品に挑戦できる機会となります。読んだことがある作品の時に参加するのももちろん大歓迎ですが、「読んでみたいと思っていたけど……」と積読状態になっている本、全くタイトルも知らなかった本にも挑戦してみていただけたら幸いです。締め切り効果がありますので、挫折していた本も意外と読めたりしますよ!

お会いできるのを楽しみにしております。

参加者からのレポート

SNSアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ「#彩ふ読書会」で感想をひとことでも書いて頂けると嬉しく思います。読書会を続けていく上での励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。

最後に

今回は主催含め9名(女性5名、男性4名)で読書会を開きました。初参加の方は2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

参加してくださった皆様、ありがとうございました!!

次回大阪での読書会は11/4です。

▶《大阪》11/4(月祝) 推し本披露会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)

▶《大阪》11/4(月祝) 『異邦人/カミュ』課題本読書会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)

初参加の方が楽しむコツは「読書会は初めてです」「彩ふ読書会は初めてです」と自己紹介の際に言っていただくことです。私のーさんはお申し込みいただいた時点で分かっていますが、他の参加者の方は知りません。「初めてです」と言っていただけると「よっしゃ!フォローしたろ!」と思ってくださる方ばかりですので、遠慮なく仰っていただけますと幸いです。

以上です。

ありがとうございました!