夢想読書会さんのアンソロジー『夢想文学 秘ノ書』を読みました。

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前置きの前置き

「ミーム」という考え方がある。

私はshikadaさんの記事で初めて知って「良い考え方だな~」と思ったので、この記事とともにミームの話を各方面でちょいちょいしている。せっかくなのでここにも貼っておく(外部サイトに移動します)

https://note.com/embed/notes/n443bf0e21f11

なぜ貼ったのかというと、夢想読書会さんのアンソロジー『夢想文学 秘ノ書』から、私がミームを受け取ったからだ。すなわち、こう思ったわけである。

また本つくりたーい!!

『彩宴4』を、つくりたーい!!

と。

『夢想文学 秘ノ書』では、彩ふ読書会の有志で作った同人誌『彩宴 -iroutage- VOL.3』のことにも触れていただいている。私たちがそこかしこに放っていた「読書会×同人誌」のミームを受け取っていただき、そして『夢想文学 秘ノ書』から放たれたミームを今度は私が受け取ったわけである。こうしたミームを送り合って受け取り合ってという流れは、今後も大切にしていきたい。

前置き

さて、時を少し戻そう。

私は本題に入る前の前置きが長い。本題とは、『夢想文学 秘ノ書』のレビューである。読んだので感想を書こうと思っているのだが、その前に書いておきたいこともたくさんあるので、少しばかりお付き合いいただきたい。

彩ふ読書会が初めて同人誌を作ったのは2020年。2020年11月22日の文学フリマ東京に向けて読書会有志で本をつくり初出店した。コロナ禍となって読書会が出来ず思うように集まれない中、リモートで打ち合わせを行って出来たものだった。それから『別冊彩宴』や『彩宴2』をつくり、去年は『彩宴3』をつくり文学フリマ東京37に出店した。

『創刊号彩宴』のとき、自分たちのつくった本を課題本にして読書会を行った(2もやったかは覚えてないが……)ただ、まだコロナ禍だったためリモートで行っていて、参加者も執筆や編集メンバーのみで実施していた。

『彩宴3』の課題本読書会は初となるオフライン開催となった。

《東京》1/20(土) 『彩宴 -iroutage- VOL.3』課題本読書会SP 開催のお知らせ

《東京》2024年1月20日(土) 『彩宴 -iroutage- VOL.3』課題本読書会SP&お疲れ様会レポート

その時の読書会に、制作メンバーではない参加者は3名おられて、そのお一人が夢想読書会の中の人だった。中の人とお会いするのは初めてだったが、『彩宴3』のことを大絶賛してくださり、むしろ面と向かって褒められるのは、は、は、恥ずかしいー!と執筆参加者一同赤面しかけ、また人生初のサインを書くという経験もさせていただいた。その場ではクールにやり過ごしていたのーさんも、家に帰ってからニヤニヤが止まらなかった。その時に中の人から本を作ること、「挨拶」や「座談会」で『彩宴3』に触れることをお聞きしていた。夢想読書会さんは今年5月に行われた文学フリマ東京38で初出店された。改めておめでとうございます&出店おつかれさまでした!

文学フリマ東京38に参加しました(外部サイトに移動します)

その後、きんじょの本棚®夢想読書会@Ond店用にも『彩宴3』を買ってくださり、私も『夢想文学 秘ノ書』を買わせていただいた。先日の8/3の読書会に参加していただいた折りに持ってきていただいた。ワクワクした私は読書会帰りの電車で早速読んだ。

というのが『夢想文学 秘ノ書』を手に取った経緯である。前置きおわり。

『夢想文学 秘ノ書』の感想

さて、では本題へ。お待たせしました。
『夢想文学 秘ノ書』の感想を書きたいと思います。もくじに書かれている作品別に書いていきます。『夢想文学 秘ノ書』をこれから読まれる方にネタバレしてしまわないよう気を付けて書きますが、不適切な部分があったら修正・削除しますので、お手数おかけしますがご連絡ください。また、執筆された方とはお会いしたことがないため、書かれた意図とは全く違う感想を抱く可能性もありますが、あくまでも作品のみを読んでの個人的感想であり、執筆者本人の人格を否定するものではないことをご理解いただけますと幸いです。

全体として

読書会のメンバーでわちゃわちゃと楽しく作ったんだろーなーという雰囲気がひしひしと伝わってくる本でした!読んでて楽しかったです。実際は締め切りとかに追われてわたわただったかもしれませんが、そこも含めてきっと楽しい時間だっただろうなーと思いました。表紙も良い雰囲気!そして「秘ノ書」というサブタイトルええやん……(思わず関西弁がでる)
「はじめのご挨拶にかえて」では『彩宴3』のことを、え、こんながっつり書いてくれてたの? そんなに褒められたって嬉しくねーぞ!コノヤロー!(お菓子を差し出す)と、嬉しくなりました。

ビハインドザセンス(エッセイ) こばやんさん

トップバッターのエッセイ。
『夢想文学 秘ノ書』のテーマである「秘」をこれでもかとたくさん出している。ちょうど私自身が『恋文の技術』を最近再読していた影響もあるかもしれないが、森見登美彦さんのテイストも感じて私は好きな文体だった。
とにかく冒頭2ページだけで「秘」がめっちゃ出てくる。めーっちゃ出てくる。めっちゃ「秘」使うやん!と思ってつい数えちゃったよ!14回も使ってたよ!数えている間に「秘」がゲシュタルト崩壊しかけたよ!!
このエッセイがトップバッターであることで、『夢想文学 秘ノ書』のテーマが「秘」であることが読者に意識的・無意識的にインプットされることは間違いなく、トップバッターにふさわしいエッセイだなと思いました。
あと、13ページの後ろから2行目と14ページの後ろから2行目の文章が好みでした。ウーバーは注文することはあっても配達したことはないので、なるほどこういう風に仕事しているのかと新鮮でした。「流行に乗るというのは、その時代を生きていた証左に他ならない」はすごく良い考えだなと思いました。

まだあげ初めし前髪の(創作) たきのみやしょうこさん

創作小説。
最初の一文でぐっと引き込まれますね。塔子の謎めいた行動や、塔子を目で追ってしまう健五の心理とか、場面場面の切り取り方が上手いなと感じました。
林檎の花が出てきますが、槇原敬之さんの『林檎の花』にインスピレーションを得たのか、それともりんごの花の花言葉となにか関連しているのか。ラストシーンでああなるのはつまりそういうことなのかとか色々と想像が膨らみました。『夢想文学 秘ノ書』課題本読書会とかあったら、そんなところも執筆者の方にお聞きしてみたいなーと思いました。
全くの余談ですが椎名林檎が好きなので「林檎」というワードが出てくるたびにドキッとしました(※個人の感想です)

手紙(創作) たけいしかたさん

手紙形式で進むミステリ調の作品(と感じました)。
コロナ禍によってがらりと変わったこと、徐々に変わってきたこと、ハード面の変化によるソフト面への影響、変化や実態。コロナ禍の中にあったことを彷彿とさせるエピソードの数々。手紙主の周囲の人物に一体何があったのか、どう展開していくのか気になりながら読んでいました。
最後の「でも~」から始まる一文が好みでした。

個人的に思う(エッセイ) 馬鹿石さん

自分のことを「個体」と呼びたくなることがあった時期の話。順序立てて書かれているので「個人」と「個体」の比較も分かりやすく、読みやすい文章でした。練習日誌の内容が感情的なものから技術的なものに変化していくのが印象的でした。最後のまとめの部分で、「個体」と呼びたくなることがあった時期の自分は果たしてそうだったのかへの答えや、過去の自分によって救われ取り戻される様子がすごく良かったです。読んでいる私も勇気づけられる気がしました。

座談会

夢想読書会の中の人とイケダさん、もとむさんの三人による座談会の様子を書き起こしたもの。この本が生まれた経緯や読書会の魅力が分かります。
良い話をしているのに調べ物に夢中で気づいてなかったり、そこをツッコまれていたり、わちゃわちゃ感やお人柄も伝わってきて、読んでいるだけでも楽しかったです!

風さらり(創作) 藤野さん

創作小説。
詩的な表現が巧みなのと、視点が面白いなと感じました。これは私には思いつかない発想だなーと!リズミカルでテンポが良く、駆け抜けていくようでした。情景が浮かびやすく、短いながらもむしろちょうど良いボリューム感で、とても印象に残る作品でした。

取るに足らない秘密(エッセイ) 麦さん

喪中葉書から故人との思い出を振り返るエッセイ。W氏とのやりとりが面白く、またそのあとの読書会についての話にも結び付いていって面白かったです。W氏が魅力的な方だったんだろうなということが文面からも伝わってきました。「一期一会の綱渡りのような縁」という言葉が素敵でした。この先またどこかでふとしたときに思い出しそう。

結婚する前で良かった(創作) 夢想

創作小説。
そんな彼氏とは別れて正解!とつい言いたくなるような数々のエピソード。一歩引いた目線だと分かるのに、盲目的になってしまうといいますか、こちら側の焦りもあってつい目を瞑ってしまったり固執してしまう心理は分かる気がしました。それにしても彼氏は残念すぎる。
ラストのやりとりがタイトルにも絡んでいて好きな終わり方でした!

始まり秘話(ドキュメンタリー) 夜長月

読書会を立ち上げたときのお話。読書会の名前や画像でそんなご指摘を受けるなんて!と驚きました。き、厳しい……。私なら出鼻くじかれてそっこーでやめてます。そこを乗り越えて読書会を続けておられるのはすごいなと感じました。

おわりに

『夢想文学 秘ノ書』の感想を書き終わりました。

ホームページを拝見したところ、2週間前くらいまでは数冊在庫があるということでしたので、手に取ってみてはいかがでしょうか(外部サイトに移動します)

夢想文学~秘ノ書~ | 夢想編糸~Utopian yarn~

「読書会メンバーで本をつくる」という試みはやっぱり良いな~と、『夢想文学 秘ノ書』を読んで改めて思いました。参加者の皆さんの、読書会の時とは違う一面を知ることが出来るんですよね。

冒頭にも書きましたが、「また本をつくりたーい!」となりました。

夢想読書会さんもまた第二弾を作る予定があるそうです。

次はどんな作品を読むことができるのか。今から楽しみにしています!文学フリマ東京でお会いしたいですね。

以上で終わります。

ありがとうございました!!