《東京》2023年9月17日(日) 『正欲』課題本読書会レポート

2023年9月17日、東京で課題本読書会を開催しました。課題本は朝井リョウさんの『正欲』でした。

今回は主催含め17名(女性7名、男性10名)で読書会を開きました。初参加の方が3名、2回目の参加の方が4名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。

読書会って何?

読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。

「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。

読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。

自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。

彩ふ読書会の目的

簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。

家庭でもない。

職場でもない。

貴方にとっての、第三の場所。

居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。

教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。

集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。

「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。

読書会レポート

では、読書会のレポートに戻ります。

読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。

お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。

会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。

開始時刻になったら読書会開始です。

まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。

自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。

皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。

難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。一応皆さんにお話を振らせては頂きますが、何も浮かばなかったら「パス!」と叫んで下さい!あ、パスは三回までOKです。

まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、一旦休憩し、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。

当日の流れは以上になります。

ここからは『正欲』の話をしていきますので、ネタバレしています。これから読む方はご注意くださいませ。

今回の課題本は朝井リョウさんの『正欲』でした。

私が読んでメモしていた感想はこちらです(メモなので結構雑です…)

全体として
朝井リョウさんの作品は好きで色々と読んでいて、これまで自分の中で一番衝撃だったのは何者だった。正欲は何者と同じくらい衝撃が走った作品。これぞ朝井リョウ、という感じ。

マイノリティの中のマジョリティ

平成から令和へ変わるときって何してたっけ

構成がすごい
この本を褒めれば書かれた人物たちと自分が同じである
拒絶する本
というようなことを読んだときから思ってるが言語化できなき

読書会も似ていて、東京、大阪、京都で集まる人によって形成されていくところがある。ので雰囲気は違う。ところを統一化しようとすると上手くいかない

うかつに多様性という言葉を使えなくなる

帯に読んだら元には戻れない?とあり、まさにそのとおり

4明日死なないことに収斂されていく
自分にもそういう時期があったけれど→クソみたいな回答。私もしがち。ということは明日死にたくないと思っているということ。

そういう人たちが世の中を占めている。村田沙耶香さんの地球星人を思い出した。

6マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない言葉

7社会は人をほっといてくれない。父親になってからさらにそう思う。子どもといるときは「安全な人」と見られているのが体感できる。頭の中でどんなこと考えてるかなんて分からないのにね。

9最初に読んだときはなんてひどい事件だ!と思ったが、再読してから読むとこの記事の見方も変わる

14寺井ひろき、息子はたいき

19実際に息子が不登校になったら、どうすれば良いか。学校に通えといっても通わなくてもいいといってもネガティブな言葉を当てはめられる気がするのは分かる

20関内駅で読書会したなあ

22ひろきの言葉はたいきに響かんだろうなあ

25桐生夏月

30那須沙保里
一人の空間に入ってこられるの嫌やなあ

36神戸八重子

44兄と比較される八重子

56ひろきの考え方。現状を肯定し合うようになってはいけない、という気持ちは分かるなあ。これじゃいけないみたいな。

●61で気づいた。視点が変わる前の文章と冒頭が繋がっている!

61広田と西山。おるなあ〜。面倒見良いわけではない。

●68視聴者さんからのリクエストにくいつく→そうして形作られていく

75世界に対して遠慮がち。八重子の気持ち分かるなあ

76だいやの視線が怖くない理由は……

●78ダンスの知識ないからここらへん勉強になる。解説付きのダンス見たい。そういえば朝井リョウさんもダンスしてたんだっけ。ときをかけるゆとりを思い出した

●80耳をすませばの天沢聖司ってそんなキャラだったっけ?と思って調べたらストーカー疑惑があったのか。声優は高橋一生さんだったとは!

83ひろきの「学校に通う人生に戻ってほしい」は、他人からしたらそう思い込むのもどうかなとか思うが、いざ自分の子どもがそうなったら私も学校に通ってほしいと思うかも。このあたり上手いなあ。

97三人の視点が繋がっていく

100様々な界隈からのリクエスト

152地球に留学してるみたいな感覚

現時点では認知していないことを認める、受け入れることの難しさ

いくつもの手が伸びている

読書会で参加者の方から出た話題はこちらです。

・なかなか進まず、ついさっき読み終わった。過去一進まなかった。ラスト八重子と大也がぶつかりあうところがハイライト的だが、そこまできてようやくシンプルになったなと。。人物も多いし背景もあったし整理しきれなかった。それぞれかかえていることは分からないが、だから不幸に閉じこもってしまうのは、向き合わないで逃げいているのでは?と思った。拒絶してしまうのは、周りからかが先か、自分からなのか。世間から誤解されたままなのは残念。

・感想を語るのが難しい。八重子と大也が印象に残ってる。自分の想像力の限界もある。自分が受け入れられる範囲もあるし、しかも受け入れられる側だと思ってしまっている。

・朝井リョウは初読み。頭で書いてるなと思った。テーマは重く期待もしていたが、物足りなさはあった。もっとバチバチしてほしかった。構成は読みやすく、バラバラだった登場人物たちが集まっていく要素等エンタメ的なのは面白かったが、頭で書いていると感じた。もっとストレートに書いてほしかった。私自身が現代の社会性に興味がないのかも…。

・時間かかって読んだ。現代だからこそ書けるものだと感じた。10、20年前なら書けない。登場人物多かったので自分で相関図を作って読んだ。

・自分が言葉にできないものを書いてくれてるなと思った。人に説明できないことはあるが、被害者でもなければ加害者でもない。もどかしさを見事に描いてくれている。著者にはどういう苦しさがあったんだろう?

というところが、一巡してお一人お一人に聞いて出てきた感想等でした。ここからはフリートークとなります。

フリートークでは、一巡して出た感想から掘り下げることもあれば新たな疑問について話すこともあります。今回は本の構成から話題となりました。啓喜からはじまりラストにも啓喜が出てきて、最初からの印象が変わっていること、八重子と大也のこと、水フェチではなく対人間、対動物だったらどうだったか、など色んな話に広がっていきました。個人的には「同じ趣味嗜好の人が集まってもグラデーションがあるから長続きしないんじゃないか?」という意見には読書会と重ね合わせることがあって印象的だったり、物語の構成的に「水フェチ仲間たちで街の蛇口を全てひねるようなラストだったら内容的に面白かった」といった意見も印象的でした。

あっという間に時間となり、読書会は一旦締めてお知らせをしました。

他グループで出た意見も今回まとめてくださいましたので、こちらに載せます。

・朝井リョウ、なんてひどい作家だと思った。読み進めるのが苦しかった。

・佐々木や夏月の思いはわかることもわからないこともあって、それをむやみに肯定も否定もせずに向き合うのが生きるってことなのか。

・重くて心がかき乱される。

・「パーティ」という集まりは読書会と似ている側面もあるのでは?

・「区別と差別は違う」という言い回しを思い出したけど、あれはただの言葉遊びで本質を言ってはいなかったと思った。

・不登校になってからどうしていくのか、容易には答えが出ない。以前は啓喜寄りの考え方だったけど今は泰希に寄ってるかなと思う。

・1つの答えに安住させてくれない。

・朝井リョウ、やなひとだなーと思った。布団を見てる夫婦の言動など、いちいちつぶさに言葉にされていくのが…。

・人の醜い部分を絶妙に描く作家。

・テレビでよくいわれる「多様性」という言葉をもう気軽には使えない。

・佐々木と夏月がビジネスホテルで話しているシーンや八重子と大也が言い合うシーンなど、重い台詞と平和な情景描写が交互に展開されるのはなぜ?
→重い話をしてても世界は回ってるってこと?

・啓喜と泰希って実は似てる

・ふだん趣味の動画を見てるといろんなコメントがついてるし、就職サイトを見てると会社へのいろんなレビューがある。なにが正しいのか判断に迷う。

・啓喜が登場人物の中で唯一救われていない。マジョリティ側の象徴的人物。

・物語的ないったんの終わりはあるけど明確な「おしまい」がない。バッドエンドでもない。

・最後の1文、どう捉えた?
*消えてしまった。ではなく、消えてしまっている。現在進行形で終わっている=彼らの生活や人生はこのあとにも続いていく。
*”頭おかしい人の暴走”ここがわざわざ記号でくくられてるのが気になった。八重子は大也のことを突き放していないという示唆?歩み寄れる可能性が示されているのかも。
*八重子が大也との関係を断とうとしているようにも読める。八重子と大也の言い合いのシーンで大也が小児性愛者を引き合いに出したのもあって、誤解したまま終わっていくのか…?
*こういうニュースって日々たくさんある。佐々木や大也が逮捕された件も含めて、一瞬盛り上がっても個々人の中で意見を深めることなく消費されていく。人が関心を持てる分野ってそんなに多くない。

これにて読書会レポートは終了です。

参加者からのレポート

読書会に参加していただいた方からのレポートやつぶやきなどです。いつもありがとうございます!

https://twitter.com/m_ono_gatari/status/1703345637977469424

最後に

上の方にも書きましたが今回は主催含め17名(女性7名、男性10名)で読書会を開きました。初参加の方が3名、2回目の参加の方が4名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

次回の東京での読書会は10/28です。ぜひご参加くださいませ!

▶《東京》10/28(土) 推し本披露会 開催のお知らせ

▶《東京》10/28(土) 『呪文』課題本読書会 開催のお知らせ

▶《東京》10/28(土) 初心者ボードゲーム会 開催のお知らせ

以上です。

ありがとうございました!