2023年9月9日、大阪で朝井リョウさんの『正欲』を課題本とした読書会を開催しました。
今回は主催含め12名(女性5名、男性7名)で読書会を開きました。初参加の方が3名でした。2回目の参加の方が3名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。
目次
読書会って何?
読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。
「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。
読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。
自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。
彩ふ読書会の目的
簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。
家庭でもない。
職場でもない。
貴方にとっての、第三の場所。
居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。
教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。
集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。
「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。
読書会レポート
では、読書会のレポートに戻ります。
読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。
お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。
会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。
開始時刻になったら読書会開始です。
まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。
自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。
皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。
難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。一応皆さんにお話を振らせては頂きますが、何も浮かばなかったら「パス!」と叫んで下さい!あ、パスは三回までOKです。
まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。
当日の流れは以上になります。
ここからは『正欲』の話をしていきますので、ネタバレしています。これから読む方はご注意くださいませ。
今回の課題本は朝井リョウさんの『正欲』でした。
私が読んでメモしていた感想はこちらです(メモなので結構雑です…)
正欲感想
全体として
朝井リョウさんの作品は好きで色々と読んでいて、これまで自分の中で一番衝撃だったのは何者だった。正欲は何者と同じくらい衝撃が走った作品。これぞ朝井リョウ、という感じ。
マイノリティの中のマジョリティ
平成から令和へ変わるときって何してたっけ
構成がすごい
この本を褒めれば書かれた人物たちと自分が同じである
拒絶する本
というようなことを読んだときから思ってるが言語化できなき
読書会も似ていて、東京、大阪、京都で集まる人によって形成されていくところがある。ので雰囲気は違う。ところを統一化しようとすると上手くいかない
うかつに多様性という言葉を使えなくなる
帯に読んだら元には戻れない?とあり、まさにそのとおり
4明日死なないことに収斂されていく
自分にもそういう時期があったけれど→クソみたいな回答。私もしがち。ということは明日死にたくないと思っているということ。
そういう人たちが世の中を占めている。村田沙耶香さんの地球星人を思い出した。
6マイノリティの中のマジョリティにしか当てはまらない言葉
7社会は人をほっといてくれない。父親になってからさらにそう思う。子どもといるときは「安全な人」と見られているのが体感できる。頭の中でどんなこと考えてるかなんて分からないのにね。
9最初に読んだときはなんてひどい事件だ!と思ったが、再読してから読むとこの記事の見方も変わる
14寺井ひろき、息子はたいき
19実際に息子が不登校になったら、どうすれば良いか。学校に通えといっても通わなくてもいいといってもネガティブな言葉を当てはめられる気がするのは分かる
20関内駅で読書会したなあ
22ひろきの言葉はたいきに響かんだろうなあ
25桐生夏月
30那須沙保里
一人の空間に入ってこられるの嫌やなあ
36神戸八重子
44兄と比較される八重子
56ひろきの考え方。現状を肯定し合うようになってはいけない、という気持ちは分かるなあ。これじゃいけないみたいな。
●61で気づいた。視点が変わる前の文章と冒頭が繋がっている!
61広田と西山。おるなあ〜。面倒見良いわけではない。
●68視聴者さんからのリクエストにくいつく→そうして形作られていく
75世界に対して遠慮がち。八重子の気持ち分かるなあ
76だいやの視線が怖くない理由は……
●78ダンスの知識ないからここらへん勉強になる。解説付きのダンス見たい。そういえば朝井リョウさんもダンスしてたんだっけ。ときをかけるゆとりを思い出した
●80耳をすませばの天沢聖司ってそんなキャラだったっけ?と思って調べたらストーカー疑惑があったのか。声優は高橋一生さんだったとは!
83ひろきの「学校に通う人生に戻ってほしい」は、他人からしたらそう思い込むのもどうかなとか思うが、いざ自分の子どもがそうなったら私も学校に通ってほしいと思うかも。このあたり上手いなあ。
97三人の視点が繋がっていく
100様々な界隈からのリクエスト
152地球に留学してるみたいな感覚
現時点では認知していないことを認める、受け入れることの難しさ
いくつもの手が伸びている
読書会で参加者の方から出た話題はこちらです。
・読んでみたいと思いつつ読めていなかった。読んでから、これは読書会で話せるのかなと思った。正解のない話。LGBTとかの生きづらさを描いた本かと思ったら、マイノリティの人だけの話じゃないなと。八重子ちゃんと似たところがある。多数派に所属していたら安心ではなくて、同じように生きづらさは誰しもある。ラストはなんで言わなかったんだろう?
・表紙は何?と思った。作品全体としてこれは救いなのか、バッドエンドに感じるか?感想を言うのが怖い。自分もマジョリティに属していると思うが、いつ少数派になるか分からない。傷つけられるだけじゃなく傷つけている。なつきと佳道が格好だけセックスをする。馬鹿らしいことだと思いながらも、多数派もみんな不安やったんやなと気付くのが印象的だった。マイノリティのほうがマジョリティに歩み寄っている。こっちのほうが「人間」では?検察官の話はいる?共通しているのは「繋がりたい」
・初めて読んだときには分からなかった。同じ十周年の『スター』は白で『正欲』は黒。マイナスかなと思ったが希望が宿っている感じがした。『スター』のほうがしんどいなと思った。ラスト二人のやりとりが印象的。マイノリティでも生きられるんだよと思った。フジワラサトルの名前と出来事の使い方が上手いなと思った。問題作よりは傑作。
・人に対する解像度がすごい。自分も多数派にいると思ってるが何が正しいのか分からなくなった。最初の記事は最後まで読み進んでから改めて見ると全然違う。普段触れているニュースもそうなんだなと思った。あの人にも共感、この人にも共感というのがあった。
・だいぶ前に読んだ。価値観を壊してくれる。もっと子どものころとかに読みたかった。自分はマイノリティ派。価値観、思想、理解できないことを、これを読めば救われるんじゃないかと思った。なつきの「いなくならないから」が印象的だった。
というところが、一巡してお一人お一人に聞いて出てきた感想等でした。ここからはフリートークとなります。
フリートークでは、一巡して出た感想から掘り下げることもあれば新たな疑問について話すこともあります。今回は一巡目で出てきた「ラストは何故言わなかったのか」「表紙のこと」「救いなのかバッドエンドなのか」といったところから話題として、色んな話に広がっていきました。物語には多くの登場人物が出てくるので、各登場人物の話題がでたり、朝井リョウさんがラジオで語っていたことや朝井リョウさんの作品についての話題になったりしました。あっという間に時間となり、読書会は一旦締めてお知らせをしました。
これにて読書会レポートは終了です。
参加者からのレポート
読書会に参加していただいた方からのレポートやつぶやきなどです。いつもありがとうございます!
最後に
上の方にも書きましたが、今回は主催含め12名(女性5名、男性7名)で読書会を開きました。初参加の方が3名でした。2回目の参加の方が3名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。
初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。
さて、改めまして。
こちらにも書きましたが、おかげさまで今月から複数のグループに分かれての読書会へ移行することが出来ました。
1グループ制と複数グループ制の何が違うかというと、一番は読書会後のフリートークタイム!です!この時間には複数のグループに分かれていた参加者の方々が入り混じることになり、自分とは違うグループで紹介された本や紹介者とお話したり、少人数で雑談したり、という賑やかで楽しい時間が生まれます(特に推し本披露会の場合)。
課題本読書会の場合は、グループ入り混じってというよりも再び延長戦といいますか、引き続き課題本について語り合ったり、同じグループでフリートークをすることが多いかな?という感じです。今回は第3部が始まるぎりぎりまで、私のグループでは『正欲』についてのお話をしていました。お時間に余裕があるときは、フリートークタイムのほうも是非楽しんでいただけましたら幸いです。
あと、前回のレポートで「9月9日のときに発表」と言っておきながら準備が間に合わず……。こちらについてはまた準備が整い次第、お伝えできたらなと思います。
あ、あと(今日は多い)多分読書会後のお知らせで「次回開催は10/28」とお伝えしてしまったかもしれませんが、正しくは10/21です……。大変失礼しました!
次回の大阪での読書会は10/21です。
ぜひご参加くださいませ!
▶《大阪》10/21(土) 『銀河鉄道の夜』課題本読書会 開催のお知らせ
10/1には京都でも開催します!まだ募集してますので、ご都合あいましたら是非ご参加ください。
▶《京都》10/1(日) ミステリー限定読書会 開催のお知らせ
▶《京都》10/1(日) 推し本披露会(読書会) 開催のお知らせ
以上です。
ありがとうございました!