映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』2023年5月26日(金)公開 ぜひ劇場でご覧ください

私は勝手にッ!!

決めていたッ!!

5月は岸辺露伴の短篇集を紹介するとッ!!

のーさんです。コンニチハ。

2023年5月26日(金)、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開されます。仕事なので初日に観に行くことは出来ないのですが、どこかのタイミングで必ず観に行こうと思っております。

これは主催ならではだと思うのですが、あらかじめどんな方が読書会に参加されるのか事前に分かってます。ですので、どんな推し本を紹介するか、ストックが沢山ある時には参加者によって決めることも多いです。初参加の方が多ければ少しくだけた感じのものを持って行くこともありますし、よく参加してくださる方が多ければだいぶくだけた感じのものを持っていきます。まあ、いつもくだけた感じのものしか紹介してないですね。

だいぶ前に読んでたものの、なかなか紹介する機会のなかった推し本。

それが、岸辺露伴スピンオフシリーズ。

だってそもそもスピンオフですからね。『ジョジョの奇妙な冒険』というジャンプで連載されていた漫画の中に登場するキャラクターが岸辺露伴です。『ジョジョの奇妙な冒険』を知らなければスタンドといっても通じませんし、推し本紹介する際にはそこらへんの説明をまずする必要があります。必然的に説明する時間が長くなり、最も紹介したい部分に時間が割けない。そんな理由から敬遠しておりました。

ところが、このスピンオフシリーズが2020年の年末に実写ドラマ化しました!

岸辺露伴を演じるのは高橋一生さん!

2020年に3話放送され、2021年の年末にも3話放送され、2022年の年末にも2話放送されました。

そして映画化!!

もうこれは紹介する時期は今しかないなと思い、今月は推し本披露会3回連続で『岸辺露伴は叫ばない』『岸辺露伴は倒れない』『岸辺露伴は戯れない』を紹介させて頂きました。私と同じテーブルだった皆さんはキョトンとしておりましたね。でも、ええじゃないかええじゃないか!!

では、3作一気にご紹介とまいりましょー!!

『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』
岸辺露伴は杜王町に住む人気漫画家で、面白い漫画家を描くためなら手段を選びません。リアリティを追求する男なんですが、その好奇心の強さから色々とやばいことに首をつっこんだり、巻き込まれたりします。

スタンドという特殊能力がジョジョには出てくるんですが、岸辺露伴はヘブンズ・ドアーというスタンドを持っていて、人間を本にすることができます。本にされた人間はぱらぱらっと顔が本のようになってページを読むことができるようになって、読むことでその人物の経歴や能力、本心を読み解くことができます。ページにたとえば「岸辺露伴を攻撃できない」と書いたら、相手は攻撃できなくなったりもします。そういうキャラクターが主人公で、何かしらの事件に巻き込まれて解決する話です。どう解決するかも見所で、ジョジョ知らなくても読むことができます。

この『岸辺露伴は叫ばない』に収録されているのは次の5つ。

・くしゃがら
・ブラックスター
・血栞塗
・検閲方程式
・オカミサマ

複数の作家が書かれてるんですが、その中でも私は北國ばらっどさんの書いた「くしゃがら」と「オカミサマ」を推します。セリフ回しとかもジョジョの雰囲気があって良いんですよねー。

「くしゃがら」は、岸辺露伴と漫画家仲間の志士十五が登場します。実写ドラマでは志士十五は森山未來さんが演じていました。二人で漫画談義をしているうちに熱くなっていくんですが、途中、十五が持ってきた禁止用語リストが話題に。感電死とか高圧線とか、ちょっと前に起きた変死事件への配慮で禁止になっていたり、地震や津波もダメとか、何となく理由も分かるんですが、ちょっと過剰じゃあないかと二人で話してたりします。ここらへんのやりとりも面白いです。

で、ほとんどの用語には注釈が加えられているのですが、「くしゃがら」という言葉は注釈もないし、露伴も十五も知りませんでした。編集者に聞いても使ってはいけないと言われるだけ。辞書にものってないし検索しても出てこない。そこで十五は露伴に相談してきたわけですが、露伴も知らない。十五は満足いく回答が得られず、だんだん気になってきます。

それから一ヶ月後。露伴は十五を見かけるんですが、なんだか様子がおかしくなってます。本屋の店主に怒鳴ってたり、露伴にも暴言吐いてきたり。「くしゃがら」が気になってしょうがない。十五はどんどんおかしくなってきて、セリフの合間にもでてきたりします。もう明らかにおかしいってなって、十五を見てみると、喉の奥から何かが顔を出している……ッ!!しかも出てこようとしているッ!!これはヤバイッ!!と思って露伴は咄嗟に能力を使うんですが、禁止用語だけあって能力を書き込んでもすぐさま消えてしまいます。書き込めない。やばいどうする?!

といったお話です。

わりとこんな感じで事件に巻き込まれたり首をつっこんでナニーッ!?ってなってから解決していくところはミステリーというか謎解き要素もあって面白いです。

他の短編としては、ブラックスターは都市伝説の話。スパゲッティマンという都市伝説があって、よれよれのスーツ姿の男が色んなところで写真に映ってる。狙われた人は行方不明に。岸辺露伴も巻き込まれる話。結構終盤にスパゲッティマンが沢山出てきて襲われて、どう解決するのかこれも面白いです。

血栞塗は、図書館の本に変な栞が挟まってるという噂の話。その栞を見つけると不幸になるという話。岸辺露伴もその栞を見つけてしまう。

検閲方程式は、別次元に干渉できる方程式があるという話。その方程式を二年近く調べてた男と出会って、能力で覗いてしまう話。

オカミサマは、領収書の宛名にオカミサマと書いてもらうとお金を払う必要がなくなるという噂があって、でもそんなうまい話はないという話。

くしゃがら以外も面白いですし、ジョジョ知らなくても読めますので、良かったら読んでみてください。

『岸辺露伴は倒れない 短編小説集』
こちらは去年の12月に発売された短編集としては最新版です。短編小説集なので『叫ばない』からでも『戯れない』でもどれから読んでも問題ないのですが、こちらに収録されている3作品はどれも北國ばらっどさんが書いてます。

収録されているのは次の3つ。

・黄金のメロディ
・原作者 岸辺露伴
・5LDK〇〇つき

その中でも私は「5LDK〇〇つき」を推します。

「5LDK〇〇つき」は、岸辺露伴の知り合いである建築写真家・高島麗水の話。不動産の宣材写真とかを取って生計を立てていますが、生々しい室内写真が持ち味で、欠陥住宅や事故物件が好き。そんな彼が奇妙な家を借りたということで露伴は取材に来ないかと招かれます。

招かれた家は、駅からそんなに遠くないし商店街も近くにあるし、立地は良い。5LDKでペットも可。条件はすごく良いのに……家賃がなんと八千円!あきらかに「いわくつき」の物件。調べてみると、この家に住んだ人間は六月に大雨が降った日に蒸発している。しかも過去五年に五人も蒸発している。唯一遺書を残していた女性は「天国への扉を見つけた」と書き残して蒸発していたと。その彼氏だった麗水は、彼女がいなくなった理由を知りたくて、調べてほしいと依頼してきた。

露伴は家の中を調べますが、特に何の変哲もありません。が、大雨が降り出すと家の中に閉じ込められてしまい、外に出れなくなります。そこに謎の侵入者が現れて……。

といったお話です。

こちらもミステリー的な要素があって面白いです。

他の短編としては、黄金のメロディは音を追求した男の話。実写ドラマ化でレギュラーとして出ている泉鏡花が登場します。露伴が七年前に出会った伊坂恭明という男。彼は露伴との出会いをきっかけに考え方が変わり、音を追求するようになります。七年後に出会った彼から届いたハガキをきっかけに露伴は急速に過疎化した地域を訪れ……というお話。

原作者 岸辺露伴は、彼の作品を実写ドラマ化した時に起きた事件の話。常にリアリティを追求する露伴は、漫画のキャラクターを描く上で取材したり文献を調べたり自分で体験したり、歴史上本当にあった事をもとに描いたりしてます。彼らは本当にいるから、ないがしろにしてはいけない。けれど監督がないがしろにしてしまって……というお話。

こちらもジョジョ知らなくても読めますので、良かったら読んでみてください。

『岸辺露伴は戯れない 短編小説集』
こちらに収録されているのは次の4つ。

・幸福の箱
・夕柳台
・シンメトリー・ルーム
・楽園の落穂

その中でも私は「夕柳台」を推します。

「夕柳台」は、夕柳台という地区に「にたにたと笑う黒い猿」が現れたという話を聞いて、露伴が興味本位で見にいく話。実際に行ってみると公園は遊具が一個もないし、不思議に思って電話していると、20人くらいの老人たちがこっちを見ている。あんた新しく引っ越してきた人か?ここは静かで良い場所じゃよと言ってくる。夕柳台より下側の地区じゃそうはいかんよ、デパートの近くでたむろしてる若モンがバイクブーブーいわしてるしねえとか、山が近いから空気もうまい。栄養満点の樹液のおかげでクワガタやカブトムシがわんさか捕れるし、みたいに夕柳台地区を老人たちはほめたたえている。

そこに古い自転車をぎいぎい鳴らした学生が通り過ぎていくんですが、さっきまで談笑していた老人たちが急に目つきが怖くなって「見かけんガキだな。わしらの夕柳台を騒がせよって」とか「これだから最近の若者は……」とか「すっころべば良い」なんてののしってくる。実際には何もしてないのに学生はすっころんでしまう。他にも救急車がやってきたらガラスが割れて停車せざるをえなくなったり、露伴も「ちょっと待ってくれ!」と叫ぼうとしたら何者かに襲われてしまいます。

この地区を騒がせたら黒い猿に襲われる。それを礼賛している老人たち。露伴は自分たちが静かな生活を遅れれば他人など傷ついても良いと考える老人たちにお灸をすえます。

といったお話です。

わりとこんな感じで事件に巻き込まれたり首をつっこんでナニーッ!?ってなってから解決していくところはミステリーというか謎解き要素もあって面白いです。

他の短編としては、幸福の箱は「幸せが詰まっている箱」という開けてはいけないいわくつきの箱があって、それを開けるつもりもなかったのに開けてしまう話。

シンメトリー・ルームは、完全にシンメトリーな男が登場する話。シンメトリー主義の建築家、土山章平が作ったシンメトリー・ルームに閉じ込められる。そこではシンメトリーになっていないと黒い手に襲われるけれども、人間はシンメトリーではない。さあどうするという話。

楽園の落穂は、世界最古の小麦といわれる「楽園の落穂」を生産している村に取材に行く話。口にした人間の体質を劇的に変質させる力があるらしいが……という話。

以上、3作品を紹介してみました。

お付き合いいただきありがとうございました!

最後に。

2023年5月26日(金)、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』ぜひ劇場でご覧ください!