「私の仕事って、誰のためにやってるんだろう……?」
もしそんな疑問をお持ちなら、貴方にとってこの本は今が旬です。
食べ頃ならぬ読み頃というやつです。
すぐさま書店かネットで購入することをおすすめします。
この本を読むと、今の仕事が無意味ではないと思えたり、仕事に対して違う角度で考えてみたり、全く違う業界に飛び込んでみたくなるかもしれません。
「誰のために」という疑問を持ったということは、それを考える時期に来たということ。とはいえ一人で頭の中をこねくり回していても解決はしません。今ご自身が持つ知識や経験だけでは解決出来ないから、疑問を持ち悩むのです。
疑問を解決するには色んな手段があります。
職場の上司や先輩、同僚、後輩に相談するのも良いですし、SNSで悩みを呟いたりするのも良いですし、時間が解決することもあるでしょう。
手段の一つとして本を読むのも効果的です。
本は相談相手の時間を奪うこともありませんし、自分の好きなタイミングで開いて読んで、好きなタイミングで閉じてやめることが出来ます。SNSで反応に気を遣うこともありません。時間もそんなにかかりませんし、一人で考える材料を増やすことが出来ます。
考える材料として、一度本を読んでみてはいかがでしょうか?
読書はおすすめです。
さて、今回ご紹介するのは『マイノリティデザイン―弱さを生かせる社会をつくろう』という本です。
著者の澤田智洋さんは広告代理店に入社して華々しい活躍をしていました。けれど納品したらまた次の仕事、その仕事を納品したらまた次の仕事という風に繰り返していく中、「誰のためにこの仕事をやってるんだろう」と禁断の疑問が頭をよぎってしまいます。同じ時期に息子さんの目が見えないことが分かります。
それまで障害者との関わりがなかった澤田さんは、視覚障害者の息子さんとどう向き合えば良いのか悩み、いくら良い広告の仕事をしても息子には見てもらえない、と仕事も手につかなくなってしまいました。
そこで障害者200名と会うことにした澤田さん。色々とお話を聞いていく中で発見がありました。
第一章はこの本の肝であるマイノリティデザインについて、どのような経緯でこの考えに至ったのかが丁寧に書かれています。第二章からも面白く、ぐいぐいとページをめくる手が止まりませんでした。
私は障害のある方を支援するお仕事をしてますので、タイトルが気になってこの本に手が伸びましたが、普段障害のある方と関わりのない方にこそ手にとって読んでいただきたいなと思う本でした。
障害者の世界は多くの健常者にとって未知の世界で、普段何をしているのか想像がつかないと思うんですよね。でも、一歩踏み込んでみたらめちゃくちゃ面白いと思います。100を101にするより、1や5を60や70にしたほうがずっと面白い、というのは確かにそうだな!と感じます。
澤田さんのように別の業界から新しい風を吹き込んでくださる方がどんどん現れると良いなと思います。逆に、福祉の仕事をしている人も他業種の方と積極的に関わっていくと良いなと思いました。