《東京》2024年11月9日(土) 『犬のかたちをしているもの』課題本読書会レポート

2024年11月9日、東京で高瀬隼子さんの『犬のかたちをしているもの』を課題本とした読書会を開催しました。

今回は主催含め12名(女性6名、男性6名)で読書会を開きました。初参加の方が6名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。

読書会って何?

読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。

「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。

読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。

自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。

課題本読書会とは?

事前に読了しておいた課題本について語り合う形式の読書会です。
課題本を読書してる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。参加条件は「課題本の読了」のみです。
推し本披露会が「これまで」を共有する機会とするならば、課題本読書会は「これから」を共有する機会となります。同じ本を読了したという体験こそが、まずは大きな意味を持ちます。「これはさすがに読了は厳しいだろう・・・・・・」といった本が選書されるかもしれません。何とか読了したけど、当日特に意見が出ずに沈黙してしまったり話が脱線してしまう可能性もあります。ですが、本を読んでいる間や読書会中の瞬間瞬間を共有していくことが大切だと考えております。

彩ふ読書会の目的

簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。

家庭でもない。

職場でもない。

貴方にとっての、第三の場所。

居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。

教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。

集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。

「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。

読書会レポート

では、読書会のレポートに戻ります。

読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。

お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。

会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。

開始時刻になったら読書会開始です。

まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。

自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。

今回の課題本は高瀬隼子さんの『犬のかたちをしているもの』でした。

皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。

難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。

まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。

当日の流れは以上です。

当日出た意見はこちらです。

・高瀬さんの作品は初読み。読みやすかった。ページ数的にもいけそうだなと思ったのと、あまり早めに読み終わってしまうと忘れてしまうので当日の朝から読み始めた。自分の性別的に「わたし」よりも郁也のほうに視点がいってしまい、「わたし」のほうにはあまり共感というかそういうのは出来なかった。ただ郁也もしっかりせいと思ったし、これは「わたし」視点で描かれているが、郁也視点やミナシロさん視点だと見方が変わりそう。誰がまともでまともでないのか。他の作品も読んでみたいと思った。

・「わたし」には共感出来なかった。他人のことも自分のことを分析できているように思いつつ、他人軸、人に流されている。ミナシロさんはミナシロさんなりの考えて動いているが、「わたし」は大人になってないのかなと。自分で判断していない。大学見学で出てきた学生はメタ視点で間橋さんも当てはまることを喋らせたのではないか。

・犬への愛と人間への愛を比較しているが、犬は裏切らないというところがあり、人間は思ったような反応をもらえなかったりする。「わたし」はコミュ障だなと思った。

・「ちょっとのいて」など地元っぽい言葉があったり、細かい描写はところどころ好きだった。駒込のドトールという選択が好き。女性の病気の話もあるので共感できるもできないもない。作者が何が言いたいのかはよく分からなかった。

・「わたし」に共感できた。共感できたができないところもあった。子どもをつくろうという心境の変化は分からなかった。ロクジロウに対しての愛は、親から子への愛情のような印象だった。

・共感できるできないの話があったが、私は「わたし」を擁護したい。90点。ジェンダー問題や都会と田舎などの問題を描いている。村田沙耶香さんの『コンビニ人間』や『消滅世界』も性の問題を扱っているが、作品としてまた異なる描かれ方がされている。

と、このあたりはお一人お一人にまずお聞きしたことでした。一巡してからはフリートークで時間まで話をします。フリートークではがちがちに話す内容を決めているわけではありませんので、ここまでに出てきた意見を掘り下げたり、新たな疑問、皆に聞いてみたいことなどを話します。

グループ分けを行ってますのでそれぞれ違う話題になったかと思いますが、私のグループでは「わたし」の話が中心になりました。個人的にはミナシロさんから提案をされたときにきっぱり断ったら良いのにと思ったのですが、それが男性的な考えであるというご意見もありハッとなりました。なるべく男性的な発言は控えるようにしているのですが、根強く残っているんだなあと自分自身を顧みることも出来て面白いなあと思ったり、妊娠の辛さをスキップして子どもだけをもらえるのはラッキーと思えるのではないかという考え方も新鮮なものでした。なかなかセンシティブな内容なので日常生活では話題にしにくいことだったと思いますが、本を介して話せるというところで、やっぱり読書会って良いな~!と思いました!

お付き合いいただき、ありがとうございました。

さて、百聞は一見に如かずですので、ぜひ会場に足を運んで実際にご自身で会を体験して頂けたら幸いです。いやいや、もっと事前に調べておきたい!という方は、下のリンク先に詳しいことを書いていますので、宜しければチェックしてみてください。

課題本読書会は、普段手に取らない作品に挑戦できる機会となります。読んだことがある作品の時に参加するのももちろん大歓迎ですが、「読んでみたいと思っていたけど……」と積読状態になっている本、全くタイトルも知らなかった本にも挑戦してみていただけたら幸いです。締め切り効果がありますので、挫折していた本も意外と読めたりしますよ!

お会いできるのを楽しみにしております。

参加者からのレポート

SNSアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ「#彩ふ読書会」で感想をひとことでも書いて頂けると嬉しく思います。読書会を続けていく上での励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。

アンケート結果

今回ご参加いただいた方には、2025年2~4月の読書会に関するアンケートにご協力いただきました。投票数の多かったもので課題本が決まります。回答してくださった皆様、ありがとうございました!

c404cea7725767e61ecdf64299453c70

9つの作品に対し、1人3作品に投票をお願いしました。4つ以上回答されていた方の分は無効票とさせて頂いてます。結果はこちらです!

8票 「ない仕事」の作り方
6票 浮世の画家
6票 グレ-ト・ギャツビ-(村上春樹翻訳版)

5票 暇と退屈の倫理学
5票 ミザリー
4票 銃
3票 金閣寺
3票 卍(まんじ)
2票 光

というわけで……2025年2~4月の課題本が決定しました!順番は私のほうで組ませていただいて……

2/15(土)の課題本はスコット フィッツジェラルドの『グレ-ト・ギャツビ- (村上春樹翻訳版)』です!!

内容
村上春樹が人生で巡り会った最もたいせつな小説を、あなたに−−新しい日本語で現代に甦る、哀しくも美しいひと夏の物語。満を持しての訳業。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784124035049

アンケートで候補にあがっていた本が選ばれました!課題本がいくつかの出版社や翻訳で出ている場合、普段は指定していないのですが、今回は村上春樹翻訳版のみとさせていただきます。私も気になっていた本なので楽しみです!

3/15(土)の課題本はカズオ イシグロの『浮世の画家』です!!

内容
戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに。自分の画業のせいなのか…。老画家は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れる―著者序文を収録した新版。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784151200953

こちらもアンケートで候補にあがっていた本が選ばれました!

4/13(土)の課題本はみうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方』です!!

内容
「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅん。とはいえ、「テレビや雑誌で、そのサングラス&長髪姿を見かけるけれど、何が本業なのかわからない」「どうやって食っているんだろう?」と不思議に思っている人も多いのでは?
本書では、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアのひらめき方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説していきます。
「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書として話題となり、ロングセラーを続ける本書がいよいよ文庫に。
文庫版オリジナル企画として、「スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん」も掲載。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784167911669

小説が課題本になることが多いですが、今回はビジネス書!これまた違った話題になりそうで今から楽しみです!

課題本にしてみたい作品としては以下の回答が集まりました。

『名もなき王国』 倉数 茂
『ボラード病』 吉村萬壱
『方舟』 夕木 春央

次回の候補作にあがるかも?です!ご協力ありがとうございました。  

最後に

お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

次回東京での読書会は12/7です。12/7は7周年イベント課題本読書会SPです!!お待たせいたしました。募集開始しました!!

▶《東京》12/7(土) “7周年イベント課題本読書会SP” 開催のお知らせ

開催にあたり、「7周年イベントサポーター」を募集しております。11/17まで募集しておりますので、お手伝いしていただける方はご連絡いただけますと幸いです。

▶東京7周年イベントサポーター募集のお知らせ 

初参加の方が楽しむコツは「読書会は初めてです」「彩ふ読書会は初めてです」と自己紹介の際に言っていただくことです。私のーさんはお申し込みいただいた時点で分かっていますが、他の参加者の方は知りません。「初めてです」と言っていただけると「よっしゃ!フォローしたろ!」と思ってくださる方ばかりですので、遠慮なく仰っていただけますと幸いです。

以上です。

ありがとうございました!