2023年5月13日、東京で読書会を開催しました。
今回は主催含め17名(女性7名、男性10名)で読書会を開きました。初参加の方が2名、第1部初参加でそのまま第3部も参加された方が1名、2回目の参加の方が2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。
目次
読書会って何?
読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。
「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。
読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。
自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。
彩ふ読書会の目的
簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。
家庭でもない。
職場でもない。
貴方にとっての、第三の場所。
居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。
教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。
集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。
「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。
読書会レポート
では、読書会のレポートに戻ります。
読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。
お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。
会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。
開始時刻になったら読書会開始です。
まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。
自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。
皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。
難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。一応皆さんにお話を振らせては頂きますが、何も浮かばなかったら「パス!」と叫んで下さい!あ、パスは三回までOKです。
まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、一旦休憩し、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。
当日の流れは以上になります。
ここからは『車輪の下』の話をしていきますので、ネタバレしています。これから読む方はご注意くださいませ。
今回の課題本はヘルマン・ヘッセの『車輪の下』でした。
私が読んでメモしていた感想はこちらです(メモなので結構雑です…)
読みやすかったし面白かった。
あらすじを知らずに読み進めたので、第一章の試験は合格になるか不合格になるかすら知らなかった。なのでハラハラドキドキしつつ、周りにこんなに期待されてたらプレッシャーでかいなと思った。不合格になるフラグがどんどん積み重ねられていく感じがして、むしろギャグかなくらいにだんだん笑けてきた。合格となったときには心底良かった!と思えた。第一章が鬱屈した感じに思えたので、第二章に入ってからの爽やかさが余計に爽やかに感じた。
文章がきれい。205ページあたりのエンマと良い感じになったときの心理描写と自然の描写が好き
試験の結果が出るまでのプレッシャーとか、ハイルナーが謹慎くらったときにハンス味方できないとことか、心情が丁寧に描かれているから、自分に置き換えて「めっっっっちゃ分かる」ってなる。心の移ろい
7ページ。ヨーゼフ・ギーベンラート平凡性
9ページ。息子のハンス・ギーベンラートは頭のいい少年
現代的な思考に慣れたすぐれた観察者なら〜退廃の兆候どういうこと?
11ページ。名誉なの?いけにえなの?
チ。を思い出した
13ページ。みんなから試験受かると思われてるプレッシャーは分かるなあ。ここまでではないが
15ページ。川や水門にも目をそそげないほどの余裕のなさ
17ページ。ハンスとばったり会う
23ページ。校長そこまでしちゃう?
ずっとフラグを立てられているような感覚
29ページ。試験開始
41ページ。合格。ここまで不合格のフラグだと思って読んでたから良かった!本当に良かったワーイ!一番は誰だったんだろう?このあと出てくるのかな?
45ページ。第二章。第一章が鬱屈した感じだっただけに、夏休みの情景描写が余計に爽やかに感じる
60ページ。試験、終わってしまえば不安はない
64ページ。牧師とフライクどちらを信じれば良いか分からん
66ページ。ゾーンに入ってる感じ?
69ページ。今度は勉強漬けのフラグ。もはやギャグにしか思えないのはもう社会人になっているからか。学生時代に読んだら共感の嵐
75ページ。骨皮筋右衛門って?
82ページ。父親の思考が面白い。うん、わかってるよと一蹴される
90ページ。同室の変わり者
オットー・ハルトナー
カール・ハーメル
ヘルマン・ハイルナー
エーミール・ルチウス
98ページ。ハンスぼっち
107ページ。ハイルナーとのキス。ヘルマンとつけてるのは意味がある?
114ページ。ハイルナーが重荷になっている
118ページ。この状況で味方するのはきつい。罪悪感
123ページ。頭痛よく出てくるなあ
128ページ。ヒンディンガーの死。ハイルナーの手を握ろうとして拒否される。
132ページ。ハンス、少年から青年への変化
133ページ。ハイルナーと友情を取り戻す
141ページ。車輪の下でてくる
147ページ。戯曲の読書会。本読んでるとわりと読書会って出てくる印象
163ページ。ハイルナー放校される
167ページ。みんなの前にさらけだした魂を踏みにじってこんなにしてしまったことを誰も考えなかった
173ページ。ここらへんのシーン辛い。頭の中がどこもかも傷だらけのような気がした
174ページ。牧師さんなど、みな離れている
175ページ。死の思い
184ページ。鷹屋の人々188確かに何か起こりそうな場所
198ページ。果汁しぼりにつきものの駄洒落?
204ページ。エンマと良い感じに
205ページ。なにもかもふしぎほどようすが変わって→分かる。希望と、不安の錯綜
212ページ。エンマとキス
223ページ。エンマ去る
解説が頭に入ってこない
鑑賞はすんなり
282ページ。文学との出会い。間を置いて読むと感じ方が違う
286ページ。弟ハンスなのか。年譜見るとヘッセも神学校行ってるし、自伝的なところもあった?
読書会で参加者の方から出た話題はこちらです(今回3グループに分かれましたので、私のグループで出た意見です)
・ヘッセは中学時代に詩集を買って読んだ記憶がある。中高時代、世間にはラブソングがいっぱいあるなーなんで?と思っていたが、大人になってから何となく分かるようになった。恋愛ウエイトが大きい。キスシーンとか身につまされる。自分の体験と照らし合わせてこういう感覚だったなと感じた。
・海外文学を読むことがないので、これが2、3作目。読み始めたときとっつきにくいなと思った。ハイルナーとの友情は、鬱屈した身としては気持ち分かるなとなった。新潮文庫の解説では、ヘッセも自殺を考えて見習い工になってとあるが、ヘッセの場合は周囲からの愛や詩人になるという夢があった。ハンスは母もいないし夢もない。自殺したのはここの違いがあるのではないか。言葉にできないが、自分に意識を向けてくれる愛とか自分のやりがいを見つけることは大切だと感じた。
・学生時代に読んだ。ハンスはもともと頭良く秀才タイプ。職人たちを軽蔑しているところがある。この頃の子どもは父の仕事を継いだり未来が決まっているのかな?ハンスは感受性が強い。そんな人物が社会規範にはめられていく。ハンスとハイルナーの男同士の友情が好き。
・ちょっともどかしいと思った。分かりそうでそこまでハンスの気持ちになったことがない。再読だが今回もそう思った。周りの大人たちがちょっとずつ(ハンスに対して重荷を)積み重ねていく。どうしてあげれば良かったんだろう?読み切れてない感じがあった。母がいれば違ったのかもしれない。
・中学生の時に読んだ。以前は大人たちに押しつぶされる話かと思っていたが、意外とハンスもみんなを見下している。かわいそう一辺倒ではないんだなと思った。学校行っている期間が短い。初読みの時は父横暴だと思ったが、今回そうでもないのかなと思った。
というところが、一巡してお一人お一人に聞いて出てきた感想等でした。ここからはフリートークとなります。
フリートークでは、一巡して出た感想から掘り下げることもあれば新たな疑問について話すこともあります。今回は学生時代に読んだという方が多かったので、率直にお聞きしてみました。というのも、私は今回これが初読みでして、学生時代にはヘルマンヘッセのヘの字も知らなかったからであります!大阪で一度『デミアン』を課題本にしたことがあるんですが、それも参加者の方からの推薦でして、後日ヘッセといえば車輪の下では!?と驚かれたこともありました。
お聞きしてみたところ、教科書に『少年の日の思い出』が載っていて、そこからヘッセに興味を持った方がいらっしゃいました。あとは大学の頃に読んだ方は、ちょっと不純ですが……と難しめの名作が読みたくて手に取ったと仰られてました。いやでもめっちゃ分かります。社会人になって読書に再ハマりした頃、私も『ソロモンの偽証』とか『新世界』に手出しましたからね。今は「何ページあるから何日かかるか……他のを読もうかな」って、面白いと分かっていても躊躇してしまったりします。あの時期にしか挑戦出来ない名作もある気がします。
ヘッセの自伝的小説ということもあり、著者自身の話題にもなりました。ハイルナーはヘルマン・ハイルナーという名前なので、何か意味があったのか?ハンスは過去のヘッセ、ハイルナーは未来のヘッセだったのではないか?しかしそうなると、なぜ片割れでもあるハンセを死なせてしまったのか?しかもさらっと死んじゃう。僕もこうなる可能性があったんだよ、ということを示したかったのか。
自然の描写の美しさも話題となりました。学生時代に読んでも分からないという意見も。色々と経験したからこそ分かる美しさもあるのかなー等。
ハイルナーと出会ってハンスは幸せだったのか?という話題もあがりました。会わなければ(勉強することへの疑問を持つことなく)幸せに生きていたのではないか。あの時期に会ってしまったというのは一種の不運でもないか。
中盤で亡くなるヒンディンガーの話にも。唐突な感じもするけど、何か意味があったのか?忘れさられてしまう虚無感。死をきっかけに少年から青年になっている。
学生時代は、クラスの友達、特に女子グループとか、今思うとたいしたことないが、あの頃は全世界の悩みとなっている。つきつめた感じが刺さるというご意見もありました。ハンスは孤独とも。
父親の話にもなりました。ラスト綺麗な描写をしかけてますが、父は結局大人の世界に戻ったのではないかというご意見がありました。最初と最後が父の話で終わっているのは何か意味があるのか。
もしハンスが死んだと知ったら、ハイルナーはどう受け止めるのか。というのは、この作品の続きを想像できて素敵な問いかけでした。
あっという間に時間となり、読書会は一旦締めてお知らせをしました。
これにて読書会レポートは終了です。
参加者からのレポート
読書会に参加していただいた方からのレポートやつぶやきなどです。いつもありがとうございます!
最後に
上の方にも書きましたが、主催含め17名(女性7名、男性10名)で読書会を開きました。初参加の方が2名、第1部初参加でそのまま第3部も参加された方が1名、2回目の参加の方が2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。
初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。
初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。
第2部の「最後に」にも書いたのですが、神田祭真っただ中でした。お祭り関係者の皆様すみません、正直なところ「全然声が届かねえ……皆さんに申し訳ない……」という気持ちになっておりました。だって、窓閉じても賑やかなんですもの。そこまで予定を確認してなかった私が完全にやっちまっただけなんですが、読書会に参加してくださっている方には申し訳ないことをしてしまいました……と思っていたのですが、参加者の方から「二度と体験出来ない会ですね」と言って頂いて、そうだ!確かにお祭りのそばで読書会やることなんて二度とない!と視界がパッと開いた感覚、コペルニクス転回とはこのことかあああ!となりました。多分かなり私が沈んだ顔をしていたのでしょう。さりげなくフォローしてくださり救われました。ありがとうございました。
さて、次回の東京での読書会は6/11です。ぜひご参加くださいませ!
▶《東京》6/11(日) 『春琴抄』課題本読書会 開催のお知らせ
次回は初の試みとして推し映画紹介会を行います!ぜひ参加ご検討ください。
以上です。
ありがとうございました!