※ネタバレあり 『イノセント・デイズ』を読んで

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イノセント・デイズ
早見和真
新潮文庫

とある方から「課題本にどう?」と推薦して頂いて読んだ本!読書会でも何度か紹介されていた作品で、ずっと気になっていたのでちょっと前に本は買っていました。しばらく積読状態だったんですが、推薦して頂いたことが最後の引き金となって読んでみることに。何故かというと、このお方から推薦して頂く本に間違いはないから!何てったって『蠅の王』を以前推薦して頂いてましたからね。

ちなみに、『蠅の王』の時のレポートは↓こちらです。あの回はめちゃくちゃ盛り上がったのを今でも覚えています。蠅の王もまた課題本でトークしたいですね。あ、レポート改めて読み返してみたら、この日も午前の部で『イノセント・デイズ』をご紹介頂いてました。あとワタクシ主催なのに遅刻した日ですわ……!!

【東京】6/23読書会レポート

9月以降の彩なす家オンライン読書会の課題本は投票制で決めていきたいなと思っていたところでしたので、まだ何とも言えないんですが、これは読んだ人同士で話し合えたら非常に面白いなと感じました!「やるなら時期は9月で」と言われていた理由も読んでいたら分かりました。内容的にグサグサッとどえらいところを突かれる部分もありましたので、手に取ったものの読み切れない!って人もいらっしゃるかもですが、ネタバレ気にせず気になるシーンを語り合いたいですね。

さて、課題本になるかは置いておいて、今回もネタバレありで感じたことを書いていこうかなと思っています。課題本になった際には記事タイトルに(課題本読書会前)とつけようかな?ネタバレといっても結末については触れるつもりはありませんが、ネタバレやめて!って方はバックバック!

ミステリーですし、出来ればあまり事前情報なく読むことをオススメします。ただ、ミステリー要素を省いたとしても感じることの多いシーンのオンパレードなので、是非読んで頂きたい作品です!読み終わった後に下にスクロールして頂けましたら幸いです。解説は辻村深月さんでした。

では、いきますよ!

――――――――――――ここからネタバレ―――――――――――――――――――――――

こうなるしかなかったの……?

周りの誰か一人でも何とか出来なかったんか?!出来たやろ!!

なんて、私にしては珍しく憤りながら読みました……。結末に至るまでの過程に対して、です。でも、この憤るって感覚は何故起こったのか?なんてことを自問しながら冷静に読む自分もいたりして、ぐにゃぐにゃもやもやっとしながら読んでおりました。その結果、本当は少しずつ読み進めていこうと思っていたのに3日くらいで一気読みしてしまいました。なんか、やめられないとめられないって感じだったんですよね。最後の日なんて仕事やら家事やらのやらなあかんことを全てほっぽりだして読んでましたからね。後々大変でしたよええ……。読了した次の日なんて仕事の〆切が一気に三つくらい滞ってましたからね。この記事を書く暇もないくらい、〆切に追われて仕事をせざるを得ませんでした。あ、まあそれはいつものことでしたね。

物語の中心にいるのは田中幸乃という女性です。彼女は、元恋人の家に放火して妻と1才の双子を殺めた罪で死刑を宣告されています。背景には何があったのか。彼女に関わったことのある周囲の人物たちの視点(産科医や義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など)で、彼女の人生が描かれていきます。田中幸乃の視点で描かれるときもありますが、章ごとに人物視点が変わるので、私の場合は田中幸乃本人に感情移入しながら読むという感覚ではありませんでした。そのときそのときの人物視点で、田中幸乃の人物像が徐々に浮かび上がっていくという流れはありつつ、章ごとの人物にもそれぞれ物語があるので、そちらの人物たちに感情移入していった感じです。

何故、憤りながら読んでいたのか。

それは、もし仮に実際このような事が自分の身の周り……知人の身に起きたらということを考えたからかなーと思います。自分何が出来るん?と突きつけられるような感覚もあって、多分そうなったら何も出来ないんだろうな……と、自分の無力さをグリグリ突きつけられた気がしました。それは、この作品に出てくる周囲の人物たちと同じ視点だったかもしれません。「彼女が放火殺人だって?そんなことをするわけない!」と思いつつも、言い切る自信はない。メディアで「整形シンデレラ」と報道されたことにより、相手は世間的には完全に「悪」として認識されてしまっている。自分は彼女の全てを知っているわけではなく、あくまでもパズルの1ピースだけを持っているような感じといいますか。思いつつも言い切れない。心の中に若干「もしかしたら……私と出会ったあとに何かがあったのかもしれない……私の知らない彼女になっていたのかも」みたいな、信じきれない部分があったりもして。そんな自分自身の心の動きにイライラした気がします。あと、田中幸乃自身の視点で描かれた章もあるんですが、当事者であるはずの彼女自身の話には感情移入せず、あくまでも周囲視点の方に目が行ってしまった自分にもモヤモヤモヤモヤ。そういった点で読んでしまったので、辻村深月さんの解説にはハッとさせられました。

少し話は変わりますが、相手を見た目で判断してしまうこと、ありますよね。金髪の人は怖そうとか、アフロの人は面白そうとか、目が細い人は優しそう(怖そう?)とか、太っていたらご飯沢山食べそうとか、スーツをビシッと着こなしてるから仕事が出来そうだとか。あるいは生まれ育った環境で勝手に相手のことを決めつけてしまったり、この大学や企業にいるから賢そうとか賢くなさそうとかエトセトラエトセトラ……。

厄介なもので、なるべくそういった判断をしないようにしようと努めている私でも、見た目で判断してしまうことは沢山あります。実際に話したりするとガラッと変わったりするんですが、先入観や偏見ってのはやはり持っています。それらが自分を守ることもありますが、皆がそれぞれそうやって守ることで、するりと抜け落ちてしまう誰かがいるのかもしれない。

誰もが悪くて誰もが悪くない。

知らないくせに決めつけようとしてる。でも、じゃあどれだけ知ってたら知ってることになるんだろうか。

そんなことを感じた次第です。

作品上は放火殺人という大きな事件が取り扱われていますが、そのような事件でなくても、こういうことって身の回りに非常に多いのではないかなと。一部の情報だけで物事を判断してしまったり、ちょっとした情報で面白がって誰かのことを決めつけてしまったり、傷つけてしまったり。情報が溢れていて、それらを精査することなく我々は新しいものを求めていく。なんてありきたりな事を書いちゃいましたが、実際自分たちの職場なんかでも、物事や人物に関してすれ違いとか思い込みってのはしょっちゅうあるかなと思います。主観がまじることで真実が歪んで伝わっていく。イジメに置き換えてみたら、いじめている人、いじめられている人、見て見ぬふりをしている人……。そういえば私、以前彩ふ文芸部のほうで『上書き保存』なる短編を書いたのですが、自分自身の記憶でさえも時間が経てば歪んでくるような感覚があったり。ちょっと頭の整理が出来ていませんが、感じることが非常に多かったです(急なまとめ感)

あ、上書き保存はこちらです(唐突な宣伝)
https://irou-literary-club.amebaownd.com/posts/6154287?categoryIds=1800679

あ、あと私は参加していませんが、先日哲学カフェ研究会の哲学カフェで「フィクション」をテーマに話をしていまして、ノンフィクションについて「その人が語る「実話」とは、ほんとうに唯一の真実なんだろうか?」とレポートにあったのが印象的でした。良かったらこちらも読んでみてください。

◆ちくわさんレポート
https://chikuwamonaka.hatenablog.com/entry/2021/05/24/061113

https://chikuwamonaka.hatenablog.com/entry/2021/05/25/061844

◆ひじきさんレポート
http://syodokei-hijikimix.blog.jp/archives/8924173.html

http://syodokei-hijikimix.blog.jp/archives/8945152.html

何でしょう、一回読んだだけではなかなか自分自身の感じたこともうまくまとめれませんね!かといって何回読んでもまとめれる気がしなかったりも。まとめれないことが、この作品の魅力な気もしてます(うまくまとめようとしている←)

個人的に好きだったシーン、ぞわっとしたシーンなども書いておきます。

好きだったのは74ページ辺りの流星群を見にいくシーン!この時の田中幸乃含めた四人組は、すごく良いな~と思いました。

ゾワッとしたのは、第三章。小曽根理子視点のお話。理子視点なので彼女に感情移入しながら読んでいったんですが、何せ皐月が怖い!怖すぎる!けれど、理子自身も怖い。もし自分自身が理子のような状況に陥ったら……と考えたら、いや、考えたくないと目を背けたくなりました。

……はい!!ここまでー!

色々と書いてみましたが、メモ取りながら読んでいなかったことと、仕事があったので読了後すぐ取り掛かれなかったことがたたり、これ以上はうまくまとめられる気がしません(^^;)また読んで感じることがあれば追記していこうかなと思います。とにかく、感じることが多い作品でしたので、ぜひ読んで頂きたい!

そんなこんなで今日は終わります。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!