【大阪】読書会参加レポート“堺東読書会”

2019年3月31日、“堺東読書会”さんの読書会に参加してきました!

 

場所は大阪府堺市堺区。南海堺東駅から徒歩2分の所にあるドトールコーヒー堺東店で開催されました。

 

堺東読書会さんはオススメの本を紹介しあう形式の読書会をされている時と、課題本形式の読書会をされている時とあり、今回は課題本形式の読書会でした(課題本形式読書会とは、課題本となった作品を事前に読んでおき、当日その本について語り合う形式の読書会です)

 

 

今回の課題本は伊坂幸太郎さんの「オー!ファーザー」でした。

 

▼内容(「BOOK」データベースより)
父親が四人いる!?高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父×4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件―。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。

 

▼著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
伊坂幸太郎
1971(昭和46)年千葉県生れ。’95(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。’03年『重力ピエロ』、’04年『チルドレン』、’05年『グラスホッパー』、’06年『死神の精度』『砂漠』が直木賞候補に。’04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。’08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

主催の方は伊坂幸太郎作品を全て読破されており、今回の「オー!ファーザー」も三回読まれたとの事でした。私自身は二年くらい前に「死神の精度」と「重力ピエロ」を読んだくらい。オー!ファーザーは二年ぶりに触れる伊坂幸太郎さんの作品でした。なので「よし、主催の方に分からない点は聞いてみよう!」という気分で気軽に参加させて頂きました←

もちろん、主催の方も分からない点はあるかと思いますが、そこはそれ、分からない点は皆で推理したりその場で調べてみたら良いですし、分かる部分は教えて頂けます。非常に疑問点も出しやすい雰囲気で安心感がありました!

 

今回の「オー!ファーザー」の主人公・由紀夫には、実は父親が4人います。え、どういうこと?と序盤からグイグイ引き込まれました。文庫版だと542ページ、あとがきや解説も含めると557ページ以上にも及ぶのですが、展開が気になりすぎてあっという間に読み終えてしまいました!

 

 

 

 

 

以下ネタバレも含んでいますので、未読の方はご注意下さい。

 

 

 

 

読書会ではそれぞれ感想を言い合って、そこからお話を広げていく形でした。以下は私が個人的に「おー!」と思った点です。

 

 

 

・本とボールとハートとお金のマーク
文庫版の場合、本とボールとハートとお金のマークがちょいちょい出てきます(単行本にはないようでした)
このマークは4人の父親を表しているようでして、「そういうことか!」となりました。よく見てみると、そのマークはうっすら―とした表示の時もあれば、ハートだけが濃く表示されていたり、ボールだけが濃く表示されている時もあったりします。これってもしかして次に登場する父親を表している?という話になりました(合ってるかな?)遊び心あるな~とスペーシアばりの感心を抱いたワタクシです。

 

 

・田中が出てくる
伊坂幸太郎さんの作品では他の作品に登場した人物が登場したりするそうです。この「オー!ファーザー」にも田中という人物が登場します。私は気づかずにさらっと流してしまっておりましたが、伊坂幸太郎さんの作品を読めば読むほどこういう他作品とのリンクを見つけて楽しめるのだと知り、他の作品にも興味が沸いてきました!

 

 

・親の影響
文庫版155ページには「子供はどう抗っても、親の影響を受けてしまう」という台詞が出てきます。高校の担任教師、後藤田の言葉です。それに対して由紀夫は「親の影響があるって決め付けないで下さい」と反論しますが、「年がら年中一緒にいる親から、何の影響も受けない、なんて言い張れる奴がいたら、そのほうが、乱暴だ」と言い返されてしまいます。結局この時は殿様の発言と、その発言に他の生徒たちが便乗した事で後藤田の分が悪くなりますが、「親の影響」について考えるキッカケとなりました。自分たちが読書を始めるようになったキッカケとか、好きなジャンルや作家さんが誰なのかって、結構親の影響(子供の頃の読書環境とか)があるんじゃないかしら?と。文学作品を愛されている方の顔を思い浮かべ、それはあるかもしれないな、という話になりました。

ちなみに私の場合は父親が漫画を読んでいた事が大きかったかもしれません。子供の頃は小説はほとんど読んでいませんでしたが、自宅にはタッチとクッキングパパがありました。それからジャンプやサンデーを毎週読むようになったりコミックを買ったり。今でも漫画が好きなのは、子供のころ当たり前のように漫画があったからなのかな?と思います。もし家に漫画が一冊も置いてなかったら、私は漫画の楽しさを知らないまま大人になっていたかもしれません。

というわけで、後藤田の言葉は由紀夫や生徒たちには気にくわない一言だったかもしれませんが、妙に納得するものがありました。これは私自身が大人になったからだろうな・・・・・・とも思ったり思わなかったり。

 

 

・空気が変わる
読んでいてゾワッときたシーン。文庫版355ページの由紀夫と富田林の電話でのやりとりです。それまでの物語上の会話は飄々としているというか、由紀夫自身の切り返しが上手かったり、父親のふとした一言が面白かったりして、重くなりそうな話でも重くならない印象がありました。そのやりとりが面白く、作品の魅力だとも感じました。そのままの雰囲気で最後まで行くのかと思いきや、355ページでバサッと空気が変わります。あ、これはマジでヤバイやつだ、と。由紀夫もそのヤバさを察し、焦って行動を起こします。

文庫版41ページで、勲が生意気な生徒に関して「しょせんは守られた中での、遊びだ。教師の怖さには限界がある。教師も親も大した敵じゃない。そんなのに歯向かって粋がるのは、単なる甘えだっての」と発言しています。富田林の電話の時、その言葉が思い浮かびました。守られた中ではない、やばい雰囲気を由紀夫とともに身をもって体験させられるような、そんな気分になりました。ちなみに富田林は映画ではブラマヨ小杉が演じているそうです。

 

 

・自分が映画監督だったら誰をキャスティングする?
順番は前後してますが、「映画化やドラマ化するとしたら誰をキャスティングする?」という質問がありました。毎回お聞きしているそうです。既に映画化されているので、映画を観た方はその俳優さんでイメージが固まってしまうかもしれませんが、妄想が膨らみますね!個人的に阿部寛さんが好きなので父親4人の誰かを演じて頂きたいなと思いました!

 

 

・家計はどうやりくりしているのか?5人で1人の子を育てる形
最後になりますが、家族について。
4人の父親と1人の母親に由紀夫。一部働いてたっけ?って方もいたような気がしますが、家計のやりくりはどうしてるのかなーという点が気になりました!これは事前に考えてきたものではなく、読書会の中でふと疑問に思った事でした。皆で毎月決めて生活費を出し合っていたりするんだろうか?由紀夫が生まれた後、色んな事に関して話し合いをしていたようだから、生活の仕方も話し合っているんだろうなーと想像しました。

で、大人5人で子供1人を育てるという形。これって、案外アリなのかもしれないな、と。父親1人、母親1人で自分たちの子供を育てるのではなく、皆で育てる、という発想。多夫一妻制?一夫多妻制?多夫多妻制?シェア?といったお話になりましたが、ここらへんの補足を。あくまでも思いつきで発した言葉ではありましたが、ふっとそう思ったのは、村田沙耶香さんの「消滅世界」を最近読んだ影響が大きかったです!(コンビニ人間が面白かったら消滅世界も面白く読めると思います♪)

消滅世界もぐにゃぐにゃっとした世界観で、今の世間一般的な常識とか価値観と照らし合わせると「異常」と思える世界が描かれています。でも、異常だとは言い切れない部分が多々ありました。お借りして読んだので今手元にないのですが、某県で実験的に「大人は全て子供の母親」といった環境設定に置かれ、誰かが生んだ子供であっても、その子供は特定の誰かの子供として捉えるのではなく、某県在住の全ての大人たちの子供として捉え、皆で育てていくという発想がありました(書いてても今わけわからなくなってきました!)その発想で捉えてみると、父親4人が由紀夫を自分の子だと捉え、育てていくのも・・・・・・だいぶ話が逸れてますね!(笑)

つい別作品の話になってしまいましたが、そんな事を考えさせてくれるキッカケとなった読書会でした!

あ、鑑定して結果が分かってしまうのが怖い、という気持ちも分かりました。あと、伊坂幸太郎さんの他の作品にも興味が沸いてきましたので、また機会を見つけて読んでみたいなーと思います(^^)

 

ありがとうございました!!

 

次回はビジネス本を課題本とされる予定とのことです!

開催時にはTwitterで募集をされますので、近くにお住まいの方は是非チェックしてみて下さい♪

▶Twitterアカウント:@45a5m58

 

簡単ではありますが、私からは以上です!