《大阪》2024年8月18日(日) 『暗幕のゲルニカ』課題本読書会レポート

2024年8月18日、大阪で原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』を課題本とした読書会を開催しました。

今回は主催含め10名(女性7名、男性3名)で読書会を開きました。初参加の方は2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

このレポートが初見の方もいらっしゃると思いますので、まずは「読書会について」と「彩ふ読書会の目的」についてご説明させて頂きます。

読書会って何?

読書会とは、ざっくりいうと本が好きな方が集まっておしゃべりをする会です。

「本をたくさん読んでいる人の集まりなんじゃないか……」「かなり知識が必要なんじゃないか……」と思っちゃうかもしれませんが、そんなことはありません。読書量も知識量も必要はなく、必要なのは本が好きであるということだけです。読書好きの交流会=略して読書会と考えてみたら、少しハードルが下がりますでしょうか。

読書会は、本が好きな方にはオススメな会です。

自分一人では手に取らなかったであろう本との出会いがあったり、本の話題を通じて普段接点のない方とお話することが出来ます。

課題本読書会とは?

事前に読了しておいた課題本について語り合う形式の読書会です。
課題本を読書してる最中に感じたこと、読後に感じたこと等を自由に発言しあいます。参加条件は「課題本の読了」のみです。
推し本披露会が「これまで」を共有する機会とするならば、課題本読書会は「これから」を共有する機会となります。同じ本を読了したという体験こそが、まずは大きな意味を持ちます。「これはさすがに読了は厳しいだろう・・・・・・」といった本が選書されるかもしれません。何とか読了したけど、当日特に意見が出ずに沈黙してしまったり話が脱線してしまう可能性もあります。ですが、本を読んでいる間や読書会中の瞬間瞬間を共有していくことが大切だと考えております。

彩ふ読書会の目的

簡単に言えば、関わって下さる方々の「第三の居場所作り」です。

家庭でもない。

職場でもない。

貴方にとっての、第三の場所。

居心地の良い場所。集まれば何だかほっこり出来るような場所。色々脱ぎ捨てられるような空間。そんな「居場所」を作っていきたいなあと思っています。

教養を深めたり、読書の幅を広げるといった事も目的ではありますが、何より一番は集まること。時間や空間を共有していくこと。

集まって顔と顔を合わせれば何か新しいことが生まれてくる事もあるでしょう。新たに興味を持ち始めることや、やりたい事、今までやってみたかったけどやれなかった事に挑戦したくなるかもしれません。まだまだ理想を語るだけになってしまう段階ではありますが、貴方自身のやりたい事が叶う場にもしていきたい。

「彩ふ」は「いろう」と読みます。
色んな価値観を持った方々が集まり、色が美しく交じりあう、というような意味で名付けました。読書会は本関連の集まりではありますが、それは一つのキッカケとして捉えて頂けたらなと思っています。目的としては以上です。

読書会レポート

では、読書会のレポートに戻ります。

読書会に参加する方法はいくつかあります。参加申込方法のページからご確認ください。

お申し込み頂いた方には一週間前に最終確認メッセージが届きます。内容を確認し、当日は受付時間内に会場までお越し下さい。

会場に到着したら受付をしていただきます。PassMarket以外の方は当日現金払いとなりますので、受付時にお支払いをお願いいたします。グループ分けも受付時にお伝えしています。

開始時刻になったら読書会開始です。

まずは司会の私のーさんがご挨拶させて頂きます。その後、皆さんに自己紹介をして頂きます。お名前、普段読まれている本だったり好きな作品や作家さんなど、簡単なもので構いません。

自己紹介が終わりましたら、本の感想に移ります。

今回の課題本は原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』でした。

皆さん会が始まるまでには読了しておられますので、ネタバレを気にする必要なくお話することが出来ます。それぞれ感じることは違いますが、どの意見が正しいとか間違っているという事はありません。同じ作品を読んでも気になる点や印象に残るところというものは違うものです。こういう視点もあるのだ、といった部分をあえて楽しんでみると、この会は楽しむ事が出来るのではないかと思います。

難しい事を言う必要はありませんし、お喋りするのは苦手だと感じる方もいらっしゃると思いますので、無理して発言する必要もありません。

まずはお一人ずつ読んで感じたことを話して頂いて、そのあとはフリートークとなります。時間になりましたら終了です。

当日の流れは以上です。

当日出た意見はこちらです(ネタバレ含む内容になりますので、これから読む方は前回分のレポートをご参照ください)

・初原田マハさん。情報量がすごいなと思った。美術に関する情報が詳しく書かれていて勉強になるなと。ゲルニカは美術の教科書で見たくらい。PCに表示させて読んでた。まじまじと見るのはこれが初めてだった。過去と現在では過去のほうが個人的には面白かった。

・『本日は、お日柄もよく』など原田マハさんの他の作品も読んだが、『本日は~』は期待値が高すぎたのかいまいちだったが、『暗幕のゲルニカ』は原田マハさんの美術に対する思い入れがすごくて読んでて面白かった。YouTubeの「山田五郎 オトナの教養講座」を見たときにはドラと友達になりたくないと思ったが、『暗幕のゲルニカ』を読んで好きになった。ただ不満なのは「この人死なんといて!」と思っていた人が死んでしまう点。『楽園のカンヴァス』のティム・ブラウンが出てきて嬉しかった。

・初めて読んだ。アートの知識がないので難しいなと感じた。キャラもインテリばっかりで「お、おう」となった。イラク戦争が取り上げられているが今も戦争がありやるせない思いを感じた。

・初原田マハさん。ノンフィクションを下地にした小説好き。一枚の絵を原動力に行動できるか?というところは皆さんに聞いてみたいと思った。

・初めての原田マハさん。(物語に)入っていくのが大変だったが、133ページでルースが「行きなさい」と言ったあたりから「はじまった!」と楽しくなってきた。他にもキタ!と自分にスイッチを入れてくれるシーンがあって楽しく読めた。

・情報量が多いなと感じた。展開がつかみづらい。以前読んだ原田マハさんの作品は読んで感動したが、『暗幕のゲルニカ』は混乱、秩序、カオスあたりが頭に浮かんだ。

・2回読んだ。1回目は圧がすごいと感じた。ピカソに対する原田マハさんの思いがしんどいなと。2回目読んだら感想が変わっていてすっと入ってきた。現代パートはいらんのちゃうか?と思っていたが、ひとまとめになると必要なパートだと感じた。

・2回目。だいぶ前に読んだ。1回目は大塚美術館に行ってこんな大きかったんやと思った。2回目はテレビだけじゃなくネットや周囲の見聞等で9.11に対する思惑や利権などに焦点を合わせてるんやなと思った。こんな詳しく書いて大丈夫なのかなと。原田マハさんのことが心配になった。ラスト一行はあっけないなと感じた。

・実はつい先ほど読み終わった。史実とおりまぜた内容なので、途中調べる内容が多くて時間がかかった。『13歳からのアート思考』が初心者にはおすすめ。

と、このあたりはお一人お一人にまずお聞きしたことでした。一巡してからはフリートークで時間まで話をします。フリートークではがちがちに話す内容を決めているわけではありませんので、ここまでに出てきた意見を掘り下げたり、新たな疑問、皆に聞いてみたいことなどを話します。

今回、原田マハさんを初めて読んだ方が多い印象がありました。あと私も含めてアートの知識がないなと感じておられる方も。読んでいて勉強になるな~と感じたものの、読書会で何言おうか……戦争の話に発展していく可能性もあるしな……と若干難しい部分もあったのではないかと思います。それでもアートがお好きな方や、事前にyoutube等で調べて来られた方もおられて、ほぼ途切れることなく読書会を行うことが出来ました。私個人として印象的だったのは、実は私自身は『本日は、お日柄もよく』を読もうと思って挫折してしまった経験がありまして、けれど『暗幕のゲルニカ』は以前読んだ時もすんなりと読めたので何でかなーなんて思っていました。参加者の方がおっしゃられていた、「原田マハさんの美術に対する思い入れがすごい」という部分に魅力を感じて、『暗幕のゲルニカ』は読むことが出来たんだろうなーなんて思いました。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

次回大阪での課題本読書会は9/1の『老人と海』です……が、こちらは既に募集終了してしまいました。10/13以降の予定も記載しておりますので、良ければホームページをぜひチェックしてみてください。

さて、百聞は一見に如かずですので、ぜひ会場に足を運んで実際にご自身で会を体験して頂けたら幸いです。いやいや、もっと事前に調べておきたい!という方は、下のリンク先に詳しいことを書いていますので、宜しければチェックしてみてください。

課題本読書会は、普段手に取らない作品に挑戦できる機会となります。読んだことがある作品の時に参加するのももちろん大歓迎ですが、「読んでみたいと思っていたけど……」と積読状態になっている本、全くタイトルも知らなかった本にも挑戦してみていただけたら幸いです。締め切り効果がありますので、挫折していた本も意外と読めたりしますよ!

お会いできるのを楽しみにしております。

参加者からのレポート

▶暗幕のゲルニカ(レビュー/読書感想文)/シュシュさん(noteのサイトに移動します)

ありがとうございます。

SNSアカウントをお持ちの方は、ハッシュタグ「#彩ふ読書会」で感想をひとことでも書いて頂けると嬉しく思います。読書会を続けていく上での励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。

アンケート結果

今回ご参加いただいた方には、10~12月の読書会に関するアンケートにご協力いただきました。投票数の多かったもので課題本が決まります。回答してくださった皆様、ありがとうございました!

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9つの作品に対し、1人3作品に投票をお願いしました。4つ以上回答されていた方の分は無効票とさせて頂いてます。結果はこちらです!

10票 異邦人
7票 舟を編む
6票 桐島、部活やめるってよ

5票 モモ
5票 車輪の下
5票 幼年期の終わり
4票 暇と退屈の倫理学
2票 闇の奥
3票 日の名残り

というわけで……10~12月の課題本が決定しました!順番は私のほうで組ませていただいて……

10/13(日)の課題本はカミュの『異邦人』です!!

内容
母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784102114018

前回のアンケートでは惜しくも2位でしたが、リベンジ達成ですね。ページ数としては新潮文庫だと143ページなんですが、読み応えのある一冊。昔読んだ方も、これから初めて読む方も、ぜひご参加いただけると嬉しいです。

11/3(日)の課題本は朝井リョウさんの『桐島、部活やめるってよ』です!!

内容
バレー部のキャプテン・桐島の突然の退部が、5人の高校生達に波紋を起こして……。至るところでリンクする、17歳の青春群像小説。第22回小説すばる新人賞受賞作。

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784087468175

朝井リョウさんの作品は去年『正欲』と『スター』を課題本とさせていただいてましたが、今年は初ですね!非常に楽しみな一冊です!

12/1(日)の課題本は三浦しをんさんの『舟を編む』です!!

内容
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

横断検索はこちらです(外部サイトへ移動します)
http://book.tsuhankensaku.com/hon/isbn/9784334768805

選書理由にも書いたんですが、個性豊かなキャラクターたちの物語に心動かされて、読むときっと前向きになれるはず!今年大阪最後の課題本は『舟を編む』で締めくくりましょう!

課題本にしてみたい作品としては以下の回答が集まりました。

『風が強く吹いている』三浦しをん(なんとお二人からの推薦!)
ミステリー作品
『わたしを離さないで』カズオ イシグロ
『ミザリー』スティーヴン キング
『天使の囀り』貴志祐介
『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド
『神曲』ダンテ
『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス
『かもめのジョナサン』リチャード バック

次回の候補作にあがるかも?です!ご協力ありがとうございました。

彩ふ読書会+に関するアンケートも実施しました。彩ふ読書会+とは、定期的に開催している読書会とは異なり、希望される方が一定数集まった場合に開催決定となる不定期企画です。「進撃の巨人を語る飲み会」や「ランチ会」「執筆について語る飲み会」「ジョジョの奇妙な冒険を語る飲み会」などなど様々な企画を実施していきます。企画一覧はこちらです。
▶彩ふ読書会+ 企画一覧

やってみたい企画としては以下の回答が集まりました。

・呪術廻戦を語る飲み会
・(出題者が)小説の最初の文を読んで早押しで本の題名を当てるクイズ大会
・歩きながら本について語り合う会
・紅葉の山科疏水を歩く+安祥寺拝観
・中量級ボードゲーム会
・黒ふ読書会…角川ホラー文庫のみを持ってきて”彩ふ”を”黒ふ”にしよう
・下鴨神社へ初詣行く

私だけでは思いつかない発想もあって、ワクワクしました!一度じっくり検討したり調べたりしてみたいと思います!

ご協力ありがとうございました。

アンケート結果は以上です。

最後に

今回は主催含め10名(女性7名、男性3名)で読書会を開きました。初参加の方は2名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

上の方にも書きましたが、今回は12名(女性8名、男性4名)で読書会を開きました。初参加の方が5名でした。お集まり頂いた皆様、ありがとうございました。

初参加の方や女性が安心して参加できる空間、男性も楽しめる空間作りに今後も努めてまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

毎月参加して下さる方はもちろんのこと、久しぶりに参加したよ~という方々との再会も非常に嬉しいものです。本が好きな方々の第三の居場所作りが目的ですので、「また参加して良いのかな?」「久しぶりだけど大丈夫だろうか?」「前回体調不良でキャンセルしてしまったけど…」といった事はお気になさらず、「あ、この日予定空いてる!参加しよう!」くらいの気持ちで、是非お気軽にご参加ください。

初めて読書会に参加して下さる方々にも「参加してよかった!」「楽しかった」「また参加したい!」と思って頂けるよう努めてまいりますので、宜しくお願い致します。

参加してくださった皆様、ありがとうございました!!

次回大阪での読書会は9/1です。

▶《大阪》9/1(日) 推し本披露会 開催のお知らせ(お申し込みはこちら)
(第2部『老人と海』課題本読書会は募集終了しました)

初参加の方が楽しむコツは「読書会は初めてです」「彩ふ読書会は初めてです」と自己紹介の際に言っていただくことです。私のーさんはお申し込みいただいた時点で分かっていますが、他の参加者の方は知りません。「初めてです」と言っていただけると「よっしゃ!フォローしたろ!」と思ってくださる方ばかりですので、遠慮なく仰っていただけますと幸いです。

以上です。

ありがとうございました!