結末までの過程に何を思うか。『余命10年』

タイトルにインパクトがあったので、ずっと気になっていた作品。著者略歴を見ると著者は刊行前にお亡くなりになったとのこと。

余命10年というタイトルが意味する通り、結末はもう分かりきってます。

ミステリーものならばラスト衝撃の一行とか伏線回収、どんでん返しみたいなものを期待して読み進めていくと思いますが、そういったものを期待するものではありません。むしろラストに衝撃的などんでん返しでもあろうものなら「そうじゃない!」と本を投げつけたくなるでしょう。

では、どういう心持ちでこういった作品を読むと良いのか。

これは、どう結末を迎えるかよりも、「主人公がどう生きていくのか」と「私だったらどんな生き方を選ぶか」を想像しながら読み進めると良いのかなと思います。もちろん、読み方は人それぞれですが。

自分の寿命がいつ尽きるのか分かった時、それが余命1ヶ月であれ、余命1年であれ、結末までの生き方に向き合わざるを得ません。いつかやろうと思いつつしてこなかったことの優先順位が変わることもあるでしょう。余命一年と宣告されたとしても、丸々と一年使えるかというとそうでもなく、体調不良で入退院を繰り返すこともあるでしょう。思いの外自由に使える時間は少ない。

余命10年。長いようで短い。

自分自身が余命宣告されたら、どう生きるだろう。そんな事を思いました。

大切なことが見えてくる気がします。

生き方について考えさせてくれる本でした。