傲慢と善良/辻村深月

傲慢と善良
辻村深月
朝日新聞出版

まずは小説の装丁にご注目頂きたい。

一人のお嬢さんが描かれている。お嬢さんはとてもお綺麗なのだけれど、どこか不安げな表情を浮かべている。それもそのはず。彼女は身の危険を感じているのだ。・・・・・・家の中に、誰かがいた、と。彼女はそれを「あいつ」と呼ぶ。タクシーに乗った彼女は震えながら彼氏・西澤架に電話をかける。その日を境に二人は一緒に暮らすようになる。しかし、二ヶ月後、彼女は忽然と姿を消した。

これが序章と第一章の冒頭部分である。

わずか10ページ読んだだけで私はかなり引き込まれた。あいつとは?彼女が姿を消した理由は?流れから考えればあいつが原因な気もする。けれど、あの夜から失踪する日までには二ヶ月間の月日が流れているのだ。失踪直前に何か前兆があったわけでもない。最後の電話も取り立てて切迫した感じもなかった。この二ヶ月間は何!?

第一部は西澤架の視点で物語が進んでいく。警察には事件性は低いと判断され取り扱ってくれなかったため、架は真実の家族や職場の同僚などを手がかりに真実の行方を追っていく。

・・・・・・という物語です。

 

 

「かがみの孤城」や「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」「名前探しの放課後」などなど、これまでにも読書会ではたびたび紹介されてきた辻村深月さんの作品。

私は「かがみの孤城」を一番最初に読みました。で、次に読んだのが「傲慢と善良」です!

読書会で紹介されていた方に教えて頂いたのですが、辻村深月さんの作品には読む順番があるとのこと。もちろん単独で読んでも楽しめるけど、Aの作品に出てきた人物がBの作品にも出てきたり、謎が解決されたりといった風にリンクしていて、それが分かると更に面白いのだとか。私の好きなやつやん・・・・・・!!と思いながらかがみの孤城を最初に選んだ理由の一つとしては「順番を気にしなくて良いから」があります。手をつけだしたら絶対ハマると分かっているので、あえてリンクしていないものを選ぼうかなと・・・・・・時間が出来たら一気に読んでいきたいなーと思っているわけです!絶対ハマると分かっていますのでね!というわけで、今回も特にリンクはしていないということと、読書会で紹介して頂いた時に非常に面白そうだと感じたので手に取ったわけでありますって永い言い訳になってますね!

結果、読めて良かったです!読み始めたら止まらなくなり一気に読了してしまいました!400ページ超えですが、すらすらと読めます。

物語にはミステリー要素もあるのですが、それより何より彼女の過去を探っていくうちに出会う家族や田舎の話が私には突き刺さりました。母親との関係性とか、おおおぉ・・・・・・ってなります。賛否両論あるかもしれませんが、私は登場人物の心の中が繊細に描かれているなと感じました。非常に面白かったです!

辻村深月さんの作品、これからも読んでいきたいと思います♪