暗黒時代を語る時がやってきた①

私にとって地元にいた頃のエピソードは全て暗黒時代といっても差し支えがない。

特に高校生最後の一年間は全盛期である。

関西へと引っ越す前に田舎臭さを消したいと思い立ち、やりたいことを出来る限り詰め込んだのだ。結果、沢山の恥をかいた。かかなくていい恥も沢山かいた。しかし、たくさんの恥をかいたがゆえに、私は何でも出来るのだと妙な優越感にとらわれた。優越感や自己肯定感があらぬ方向に増大し、それから更に二年間、今度は痛々しい人間へと成り果てた。つまり、私の十代というものは全て暗黒時代と痛々しい過去で成り立っている。

その暗黒時代をそろそろ語っても良いのではないか。そんな風に思えるようになってきた。暗黒時代は暗黒時代ではなかったのだと、自分の記憶を塗り替えていこうかと思ったのだ。

まあ誰が興味あんねんな話もあろうが、この「暗黒時代を語る時がやってきた」をシリーズ化し、赤裸々エピソードを語っていこうかと思っている。

 

 

 

記念すべきシリーズ一回目は……。

 

 

 

髪の毛の話から始めよう。

 

 

 

確か中学生の頃だったと思うが、私は親にすすめられてパーマを当てた。

もう中学生なんだから外見を気にしなさい、ということだった。

その頃の私は学校から帰るとすぐさまゲームをするというゲーム三昧な日々を送っていた。ゲームは親から誕生日にプレゼントしてもらったものだ。オシャレなんて何それ美味しいの状態だった私にパーマを当てろだって?!いきなり棒高跳びで世界記録に挑むようなものだ。

なんてことを当時は考える暇もなく、親が買ってきたパーマ剤で前髪にパーマを当てられた。拒否権はない。問答無用だ。母としては自分自身にやっているから息子のものもお茶の子サイサイだと思っていたのだろう。私はその楽観的な発想は危険だと心のどこかで感じていた。まず、なぜ息子にパーマを当てようなどと思い付いたのか。今ではもう分からないが、きっと何かしらの原因があったはずだ。

なんてことを当時は考える暇もなく、パーマは当てられ案の定失敗した。前髪がおかしな方向にぐにーんとうねりを生み出したのである。私は誰にも見られたくなくて、ひきこもろうかと真剣に悩んだ。

なんて発想は当時の私にはなく、嫌々ながらも学校に行った。案の定友達に笑われた。寝癖でもないぐにーんな前髪がそこにあれば笑わない方が難しいだろう。

 

 

遡ること数年前、私の友人も一度おかしなヘアスタイルで学校にやってきたことがある。

何を思ったか子連れ狼の子供の方のヘアスタイルをしてきたのだ!

イメージがしにくければ2002年日韓ワールドカップでブラジル代表だったロナウド氏を思い浮かべてほしい。それでも分からなければ検索してみてほしい。今でこそ「ああ、うん、お、おう……」という反応を頂けるくらいには認知度もあるだろうが、ロナウド氏があの髪形をしてきた2002年はあまりの奇抜さに周囲でざわめきが起こった。私の友人がその髪形をしてきたのは2002年よりも更に数年前の出来事である。私の周囲では、友人の髪形をロナウド氏がパクったのではないかという見解で一致している。

何はともあれ、ロナウド氏の保護下にもおかれていない当時、時代の最先端を行き過ぎた友人の末路は言わずもがなである。まだこれがベッカムヘアだったならば数年後に彼も報われただろう。え、未来予知出来るの?と、賞賛と疑惑の嵐だったに違いない。しかし、彼は同じ日韓ワールドカップまでは辿り着きながら、イングランドではなくブラジルに行ってしまわれたのだった。惜しい。彼は今どこで何をしているのだろう?一度会ってみたいものの、今では連絡先が分からなくなってしまった。え、俺の事かも?と心当たりのある方、こちらまでお問い合わせ下さい(アドレスは載せない←)

 

 

つくづく中学生時代というやつは暗黒期である。私も、その友人も、この時期に深い痛手を負っている。何故なのか。それは分からないが、万能感があったのは確かだ。ところでこれ何の話でしたっけ?ああ、そうそう!髪形の話だ。

そういった経緯もあり、私はパーマというものに苦手意識があった。また失敗するかも……と思うと手が出せなかったのだ。まあ早め早めに恥をかけたことで耐性が出来たのだと今は前向きに捉えているが、それでもパーマに対する苦手意識はあった。

変わろう、と思ったのが数年前だ。

これまで流されに流されてきた私は、一度逆流の中を泳ぎたくなった。まずは形から、ということで浮かんだのが暗黒期の克服。つまりパーマを当てるということである。

それまで理容院や美容院を転々としていた私は、そろそろ行きつけのお店が欲しいなとも思っていた。ネットでひたすら検索するものの、なかなか私にとってはどのお店もハードルの高い所だった。

そんな中、気になるお店を見つけた。

隠れ家的な雰囲気があって、ご夫婦でやっていて、すごく初心者に優しいお店だなと私は感じた。お店の紹介文には「初回来店時にはカウンセリングをします」という一文があった。調べた限り、そのような一文が書かれたお店は他にはなかった。このたった一文で、私は美容師さんの心遣いを感じ、ここにしようと決めたのである。

実際に行ってみたら、美容師の方はとても親切で、私はゲリラ豪雨のごとく喋りまくった。これまでの私は無愛想な感じで返事をする事が多かったのだが、この人の前だと何でも喋ってしまうのだった。

このお店、この美容師さんのような雰囲気って良いな、こんな風になりたいな、と思いながら私は彩ふ読書会を作っていっている。いわば彩ふ読書会のモデルはここにある。

 

現在、私はパーマを当てている。髪を染めるタイミングもあるのでパーマじゃない時もあるが、大体はパーマヘアだ。

同じ美容院に通って三年が経った。ちょうど良い距離感で、心地良い会話をしながら、髪を切ってもらう。私にとって、その美容院で過ごす時間は至福の時だ。

実を言うと、引っ越しをしてからは実はちょっと遠くなってしまった。他にも美容院はあるし、ここよりも安くて良い所もあるだろう。けれど、私はこれからも出来るだけここに通いたいなと思っている。ここに行くとほっとするからだ。ほっと出来るという事が、私にとっての選ぶ基準なのである。

私が良いと思っていれば、それで良いのだ。

私自身が気に入っているのだから、それでいいのだ。